カリンガ族のホウキ - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
  カリンガ族のホウキ


 カリンガ族のホウキは、カリンガ州の山奥の村の人々によって作られています。そのうちのひとつ、パシル地方のバリンシアガオ村のホウキ作りをしているある家族とホウキ作りの様子を紹介します。
写真はプゴン集落のエレーニョ・パリガンさん(48歳)と、義理の息子のサラオ・モイセスさん(27歳)が、ホウキをつくっている様子です。

材料は穂の部分はタイガーグラスと呼ばれるススキによく似た草。野生のものもありますが,ホウキ作りをする人は自宅近くに植えている人もます。手の部分に編みこんでいるのはラタン(籐)。穂の部分の根元をしばっているのはニトとよばれる植物のツルです。これらも山で自生しているものを採ってきて材料にしています。作り方は以下のような手順です。

①採ってきたタイガーグラスを乾かす。
②穂の余分な葉や種を取り除く。
③ラタンを裂いて太さをそろえ,しごいて滑らかにする。
④タイガーグラスの穂をばらして、茎を芯にして、ニトでひと房ずつしばる。
⑤6房をひとまとめにして、ラタンで編みこむ(穂と柄の間の三角の部分)
⑥柄の部分のラタンを編みこんでいく。
⑦最後に取っ手をつけ、ハサミで穂先をそろえる。


パリガンさんの家には6人の子供がいます。家族は棚田で米を育て、畑で豆やコーヒー、野菜などを育てています。以前は現金収入がほとんどなく、収穫したコーヒーや豆を、必要なときに砂糖や油などと交換していました。いまは、昼間は畑仕事や薪の採取をし、注文があったときには、夜、ホウキ作りをします。まだ注文が安定しないので、材料のストックを持っておらず、足りないときは近所の人などから譲ってもらうこともあります。
 
ホウキ作りの技術は、エレーニョさんの父親から教わりました。ホウキによるの収入は彼ら一家にとって貴重な収入源です。エレーニョさんの6人の子供たちは誰も高校を卒業できませんでしたが、ホウキ作りの注文が増え、現金収入がもっと増えたら、サラオさんの子供など孫たちを高校に行かせることもできるかもしれないと思っています。

「カラバオ・ママ」ではエレーニョさんのようなホウキ作りの技術を伝えている村人たちに、ホウキ作りをお願いし、バギオの市場で売っている価格の約2倍の価格で買い取っています。カリンガ族のホウキのような自然素材による手工芸品は、材料を山から採取できるため、元手がなくても、手に職があり、買い手さえ見つかれば現金収入につながります。町に出稼ぎに行かず、村にいながらにして稼ぐことができる数少ない手段です。バリンシアガオ村は、山岳地方も中心バギオ市からでも12時間以上かかる山の中の村で、電気も、もちろん電話もなく、商品の輸送や連絡にかなりの費用と手間がかかります。
 
しかし、村には昔ながらのすばらしいホウキ作りの伝統が残されています。村人に現金収入を与えるとともに、そのホウキ作りの技術を次の世代に伝えていくためにも、ホウキの注文を続けていくことが必要なのです。
  Homepage: http://www.ph-inside.com
Updated: 2010/02/17

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