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国際協力の現場に関心のある大学生へ - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  国際協力の現場に関心のある大学生へ
 
日本も本格的に夏休みに突入。元気な好奇心旺盛な若者たちは、世界各国に旅に出ていることと思います。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)にも、おとといから新しいインターンの大学院生がやってきました。東京大学i医学部の大学院生という山下綾香さん。大学院では人類生態学研究室で、「人が人を区別する」ということを人類学的に解明しようと、テーマを探す日々送っているそう。そして、社会に対して、「区別された側」の人のもつ力強いメッセージを発信していく手段として、演劇というのがとても有効だと考えていて、CGNの演劇を使った先住民を対象とした環境教育プログラムに関心をもってくれたそうです。
 卒論を書くために北タイのイサーンに滞在していたこともあり、アジア暮らしはお手のもの。 高校時代にカナダに留学経験もあって英語もばっちりで、いきなり、CGNの活動の現場で活躍してくれそうです。

 聞くところによると、最近は国際協力やボランティアに関心の高い大学生がすごく多いそうで、私の母校・立教大学にもボランティア・センターというのができて、学生たちの相談にのっているのだそうです。おととし、フィリピン大学デリマン校の大学院でコミュニティ開発を専攻していた立教のずーーっと下の後輩・中村みどりさんが、なんと今年度からそのボランティア・センターに転職。みどりさんが「ボランティア論」という授業で、フィリピンでのNGO経験について話す機会があり、CGNのことを取り上げてくれるということで、日本からのインターンやボランティアを受け入れてきた立場から、授業のためにちょっと辛口の原稿を寄稿しました。参考までに。
 
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CGNが受け入れてきたインターン&ボランティア
 CGNはHPなど告知してインターンを募集するということはやってきていない。知り合い通しての紹介や私の書いたブログの記事を読んで、問い合わせがあり、若干のメールでのやり取りの後に短期のボランティア、あるいは長期のインターンとして、活動への参加を了承している。
 渡航前の日本側での研修などは行っていない。CGNはフィリピンの北ルソンのバギオ市というところをベースとしている小さなNGOであり、NGO法人としての登録もフィリピンでのみ。日本サイドには事務局がなく、スタッフもいない。フィリピン側の事業スタッフは私を除いて全員フィリピン人であり、インターンやボランティがフィリピンに着いてから研修などを行う余裕が私にはなく、なるべくすぐに現場に入れる能力や関心が定まっている人を受け入れることにしている。
 今までに受け入れてきたインターン&ボランティアは以下。

・2007年~ J(30歳 )…バギオ市の大学&大学院に通う学生。当初は英語留学で来比。専攻はマーケティングや開発。通学しながら事務所の管理を兼ね住み込みのボランティアで1年半。現在JICAマニラ事務所勤務の傍ら、翻訳などのボランティアを継続。

・2007年~2008年 Y.(27歳・男性)…8ヶ月間。日本トイレ協会(現在は日本トイレ研究所と名称変更)会員。英語留学を兼ね、途上国のトイレの実情調査と改善案の事業化が目標だった。現在、日本の環境NGOの事務局長。

・2008年~2009年 K(21歳・女性)…8ヶ月間。大学の国際関係学部を1年間休学。大学でタガログ語を専攻し、在日フィリピン人に日本語を教えるボランティアなどを行っていた。環境教育に関心があり、CGNのパートナーである山梨県清里のキープ協会国際部にて、1ヶ月ほど実務経験を積んだ後に来比。今春大学卒業後、政治家事務所に勤務。

・2008年…S (22才・女性)大阪大学外国語学部タガログ語専攻。フィリピン大学バギオ校に半年間交換留学生として留学の後、卒論研究をかねてボランティア(半年)。

・2009年 R(32歳・女性)…4ヶ月間。市役所を退職して来比。語学留学が主な目的。

・2009年 H(21歳・女性)…3ヶ月間。大阪大学外国語学部タガログ語専攻。フィリピン大学ロス・バニョス校森林学部に半年交換留学生として留学の後、ボランティア。

・2009年 O(21歳・女性)…4ヶ月間。愛媛大学を休学し、半年間、バギオ市の語学専門学校で英語を勉強の後にボランティア。

・2009年6月~ M(33歳・女性)…青年海外協力隊の森林隊員として2年間フィリピン滞在経験あり。北ルソンで広く話されているイロカノ語を話す。北ルソンでアグロフォレストリー事業を行うのが目標。バギオ市の語学校で半年英語を学習ののち、ボランティア・スタッフ。


インターン&ボランティアとして必要な能力と資質

1.語学力
 英語研修を兼ねて来比しボランティアとなったRさんは、ほとんど事業現場での活躍の場はなかった。同じく英語研修を兼ねて8ヶ月いたY君は帰国直前では多少現場スタッフとして事業に参加の機会があった。Rさんは何度か事業地に同行した後、現場への参加をあきらめ、語学研修に集中することに方針を変更せざるをえなかった。
 一方、大阪大学外国語学部(元大阪外大)からの二人は目的意識がCGNの理念に賛同してのインターンではなかったが、語学能力が高く、翻訳・通訳などで事務仕事、現場ともに活躍の場が多かった。事業地の住民やフィリピン人スタッフとのコミュニケーション能力に問題がないということで、責任者である私からしても条件の厳しい事業地への活動参加にも安心して派遣することができ、インターン(ボランティア)として、多彩な経験を積む機会が得られたと思う。
 CGNの事業地は英語でのコミュニテーションが可能であり、世界のほかの多くの発展途上国に比べれば、日本人インターン、ボランティアにとっては恵まれた条件であるといえる。専門用語など必要ないが、日常会話程度の英語でフィリピン人事業スタッフに事業地で自分の要望や悩みを伝えられるくらいの能力は最低限必要だと思う。
 また、事業地ごとに先住民族の言語があり、また、北ルソンの共通語としてイロカノ語が広く浸透しており、事業地ではあいさつ程度でもこれらの言葉を話せると歓迎される。来比後に積極的に現地語を学ぶ姿勢を示すのは、文化に対する関心を示すことになり、事業地の人々には好ましく受け取られる。

2.事業や活動に対する関心・参加の目的の明確さ 
 事業地でどう活かしていくかという手法はわからないにしても、どこに関心があるのか、活動参加により何を学びたいのか、ということがはっきりしていると、私としては進行中のどの事業現場で望んでいる経験を積めるか、スタッフの誰と組ませればより多くを学べるかと、インターンやボランティアの限られた滞在期間を有効に活かすためのプログラムを考えることができる。
 トイレに関心があったY君は、語学力の関係で関心をコミュニティにおける活動まで移せなかったのが残念だが、目的が明確であったためコーディネイトする側としては、プログラムを組みやすかった。
 また、環境教育に強い関心があり、来比前にキープ協会で環境ファシリテイター養成講座を受講し、国際部でアフリカ人向けの研修プログラムのサポートなどの経験を積んでから来比した大学生Kさんは、タガログ語・英語ができるということもあり、すぐに事業地の学校にて、メイン・ファシリテイターとして環境教育ワークショップを行う機会を与えることができた。現地ならではの事情(参加者の教育レベルや、理解力。現地の環境のあり方や環境破壊の現状。先住民の価値観やメンタリティ、経済状況など)を把握できるまでは、ワークショップ内容に改定を示唆する必要があったが、「日本でのベストがここではベストではない」ということに早めに気づく機会が与えられ、フレキシブルにあらゆる状況・環境に対応せねばならないということを学ぶことができたと思う。
 目的や関心が定まっており、来比前にある程度の準備をしておくことが、現地での限られた滞在期間を有効に活かすには欠かせないと思う。

3.観察力と文献での下調べ 
 上の項の大学生Kさんの項でも触れたが、当然のことながら事業地はボランティアやインターンが暮らしてきた日本の環境・状況とは違う文化圏にある。事業対象のいわゆる受益者の状況や暮らし(教育レベルや、理解力。現地の環境のあり方や環境破壊の現状。先住民の価値観やメンタリティ、経済状況など)を観察することが、事業を有効に推し進めていく基本となる。短い滞在では、現地の状況を深く理解するには時間的に十分でない場合もあり、可能な限り文献などで下調べをしていくことも必要だと思う。とくにCGNの事業地は、今も古くからの風習が残っている地域であり、タブーを犯すことで事業地の出入りさえ困難になったり、部族間闘争の種をまくことにさえなりかねない。
 また、CGNをはじめ多くの日本の国際協力NPOが事業地としているアジアの国々は、第二次大戦で戦場となった場所であり、いまだ大戦の記憶が鮮明で日本に恨みを持っている人も少なくない。日本との関わりなど歴史について事前に学んでから現地に赴くことは、礼儀であるともいえると思う。

4.文化に対する敬意 
 国際協力の現場にかかわりたいというインターンやボランティアは、心優しき若者たちであると思うが、「助けてあげたい」という上からの視線がおのずと備わっている場合が多い。日本が先進国であり、貧しきアジアの国々を助けてあげなければならないという、日本人としての根拠のない優越感、途上国の人々に対する差別的な偏見が含まれているといっても過言ではない。
 CGNの事業地である先住民族居住の村で、首をひょいっとひねって火であぶって出してくれる鶏料理、庭を走り回る犬を絞めて供してくれる犬料理などは最高の歓待の表現であり、感謝の意を表することが必要だ。遭遇する機会があるかもしれない冠婚葬祭の儀式や祭りも、先住民たちにとってはたいへん重要なものであり、どんな驚くべき事柄が起こっても、受け入れ、異質なる文化に対して敬意を表する心構えは欠かせない。
 少なくともCGNの事業地においては「かわいそうな人を助ける」という視点はいらないと思う。先住民たちは物質的には恵まれていないように見えるかもしれないが、森や水や鉱物などの資源、独自の文化を持っているのは彼らのほうで、お金がなければにっちもさっちも行かない私たち日本人のほうがむしろ貧しいのではないかという疑問を抱くことがすべてのスタートになると思う。
 文化に対する敬意をもつことで、事業地での活動がより有効にいかされるための方策がおのずと浮かび上がってくることになると思う。
 ただし、紛争地域、災害の被災地などでの活動は別である。コントロールできない力により、虐げられた立場に置かれた人への救援活動は違う視点で行われるべきであることはもちろんである。

5.自分で判断し、考える力 
 事業現場では、予測されないことが起きる事も頻繁にある。CGNの事業地は、山岳地方の村々であり、台風などで道が不通になりスケジュールが大幅に狂うという物理的なことから、日本の常識では予想もつかないような反応が事業地の受益者からあることも多いだろう。頭の中で組み立ててきたマニュアルにない現象が起きたときに、状況を把握して考え、判断する力が必要だ。何もかもお膳立てされている日本とはベースが違う。今まで経験したことのない事柄が発生しても、冷静にフレキシブルに受け入れ、考え、判断する力が必要だと思う。

6.考えたとことを表現し、伝える力 
 日本では優秀な学生であったインターンやボランティアも、活動現場においては無知の新人である。わからないことは謙虚に村の住民に尋ねる姿勢は欠かせない。自分で判断して行動をとる前に「●●してもいいですか?」と確認する。フラリと散歩に出て迷い込んだ村が、滞在した村と敵対関係にある村で、争いに巻き込まれないとも限らない。CGNの活動地域には、NPA(新人民軍)という共産ゲリラが秘かに活動を続けている地域もあり、不意の政府軍の攻撃があることさえ考えられる。
 フィリピン人のスタッフや村の住民から情報を得るコミュニケーション力は、自分の身を守るためにも非常に大切である。コミュニケーション力はもちろん語学力に影響されるが、たとえ英語がおぼつかなくても、伝えたい気持ち、尋ねたい気持ちが強くあれば補うことができる。観察したことから浮かんできた疑問や考えや日本人としての見地を、できる限りの語学力で謙虚にフランクに表現してみること。「リッチな国」日本から来た若者が、自分たちの文化や暮らしに心から関心をもってくれることに憤慨する者はいない。

7.体験したことを日本の一般の方に伝えていく力 
 また、CGNとしては、日本人インターンやボランティアが、得た経験をCGNの日本語の情報メディアであるブログやニュースレター、ホームページなどで発表してくれることにも大きな期待を寄せている。常に代表である私からの見識だけでなく、フレッシュな視線で体験談を発表してくれることは、CGNのサポーターやドナー(寄付者)にとってたいへん有益な情報になるとともに、なかなかきめ細かく現場に足を運ぶことができない私にとっても重要な情報源となる。
 CGNは、現場になかなか足を運べなかったY君がHPの立ち上げを担当してくれた。文章を書くのが得意なKさんやHさんは、それぞれニュースレターにすばらしい文章を寄稿。Kさん、Oさんはそれぞれ一号ずつニュースレターの編集を担当してくれ、CGNの日本人向けの広報活動に大きく貢献してくれた。
 
 8.健康と体力 
違った環境におかれると体調が崩れるのは誰にでもあることだが、できるだけの健康管理を心がけて現場に向かうことが大切だと思う。Y君は胃腸に問題があったのも、長期の移動時間を要し、病院のない事業地に長期滞在を決意できなかった原因のひとつであった。来比に当たっては、常備薬を用意し、自分の健康状態をしっかり把握してくることが大事である。また、具合が悪いときは無理をせずに、フィリピン人スタッフや現地住民に相談することも欠かせない。早めの処置が事態の深刻化を防ぐのはどこの国でも同じことである。厳しいようだが自分の身は自分で守る覚悟が必要だ。
 また、事業地には道路がなく徒歩で何時間も歩かなければならない村も多くあり、体力があることが遠隔地の事業地にいくための必須条件となる。高校で陸上部、大学では柔道部で主将を務めたというKさん、山の村で育ったという大阪大学Hさん、協力隊で森林隊員だったMさんは、体力に自信があり山歩きが得意なことを当初から公言してくれれたため、遠隔地の徒歩で行かねばならない事業地に派遣することも可能となった。
 一方 Jさんは山歩きと長期の車での移動が苦手で、事務関係のボランティアが中心となった。

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 インターンやボランティアに対してずいぶん厳しい条件を挙げさせてもらったようであるが、要は日本でできる準備以降、現地に着いてからは、出会った人に対して関心を持ち、より深く知りたい、関わりたい、と思うこと、そして日本人としてできることは何かを真摯に経験に基づいて考えることができれば、すべて解決することだと思う。違う価値観をもって生きている人々(フィリピン人スタッフや事業地の人々)と、いかにフェアな視点で人間と人間の付き合いをできるかどうかが、インターンやボランティアとしての豊かな経験を得られるかどうかのネックになると思う。

 コミュニケーションに関しては、フィリピンでのNGOの運営に関わる日本人スタッフからよく「大事なのはホウレンソウですよ」と聞く。「ホウレンソウ」…「報告」「連絡」「相談」。この3つさえ心がけて、上司やスタッフや同僚とコミュニケーションをとって行けば、それほど大きな間違いはないと思う。

 たとえ、上に書いたどれにも自信がなかったとしても、謙虚に「知りたい、学びたい」気持ちが強ければ、事業地に入ってからすべてを身につけて帰ることも可能だと思う。
 
 

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Updated: 2010/08/04

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