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中越地震の震央・長岡市川口町木沢集落を訪問 - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  中越地震の震央・長岡市川口町木沢集落を訪問
 アースデイやら2010年度の環境教育事業の準備で忙しい中、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の今後の長期的な事業展開に向けての地盤固めのために、9日間という短い期間、日本に一時帰国してきました。マニラからの往復便の格安航空会社セブパシフィックの発着地・大阪をはじめ、横浜、実家のある静岡、新潟・長岡市&柏崎市、さいたま、東京と駆け足でめぐりました。

本当に素敵な方たちとの出会いと再会に恵まれた9日間でしたが、中でも、昨年10月の台風17号(ペペン)の被害の際に、迅速に寄付活動に動いてくださり、さらに1月には現地視察のために北ルソンを訪れてくださった長岡市の子育てサポートNPO「になニーナ」の佐竹直子さん、中越防災安全推進機構の河内毅さんの活動の場を訪れることができたのが大きな収穫でした。

 佐竹さんと河内さんが案内してくださったのは、中越地震の震央(震源地のこと)だった長岡市川口町の木沢(きざわ)という集落です。65歳以上が人口比率の50%を超え、共同体の機能維持が限界に達している状態の集落のことを「限界集落」と呼ぶのだそうですが、木沢集落はまさにその典型。「最後に子供が生まれたのいつかなあ。7年位前かなあ。これからこの村で赤ん坊が生まれる可能性は99.9%ないわ」と集落の人。
中越地震後、集落の戸数が55戸から37戸に減って過疎化はさらに進み、現在の人口は95人ということです。

 しかし、ここでお邪魔させていただいた星野さんのお宅で目にした(正確には口にした)文化は、都会じゃ決して体験できない豊かなもの。
 「よく来たのお」と星野さんの奥さん・正子(しょうこ)さんが、挨拶も自己紹介もすむかすまないかのうちに出してくれたのは、地元の山菜料理の大皿盛り。ゼンマイや蕗など、おなじみの山菜の煮付けやキンピラから、聞いたことのないいろいろなキノコの入ったキノコご飯まで、テーブルに並んだ皿は10種類以上です。どれこもこれも、豊かな自然の風味いっぱいの素朴な味。決して町のレストランでは味わえない郷土料理です。

  

      ↑星野秀雄さんのお話を伺いながら、みんなで山菜を味わう。

 「おいしい、おいしい」を連発しながら、ふと気がつけば外はまだ雪景色。
えっ?もしかしたら、山菜の季節はまだなのでは? では、この山菜は?
「去年採ったのをとってあるのさ」と正子さん。
なんでも、木沢集落の各家には大きな山菜専門の倉があり、塩漬け、乾燥などさまざまな手法で備蓄し、食べるときに取り出してきて料理するそうな。
しかし、山菜採ってから多分1年近くたったいまテーブルに並ぶこの量。
「どのくらいの量の山菜を保存しているんですか? 10キロくらい?」
との佐竹さんの質問に、
「そんなもんなわけないだろうが。一度採りにいったら車いっぱい入りきらないくらいだよ」


     ↑「になニーナ」の佐竹さんと、大阪・中崎町でアートによる町おこしをする
      ダンサー・JUN(西尾純)さん。木沢の村おこしの話は参考になったかな?

雪深いこの地域だからこその生活の知恵です。中越地震の時には、町からの道路が遮断され、物流が途絶えたそうですが、この山菜の備蓄のおかげで飢えることなく乗りきれたとのこと。自然環境が異常な変化を見せている今の時代で、生き抜く知恵と力を持っているのは、もしかしたらこんな限界集落に住んでいるお年寄りたちなのかもしれません。


     ↑4月というのに木沢集落にはまだこんなに雪があります。

 ご主人の星野さんは言います。
「あの地震は確かにたいへんだった。でも、その後の復興活動を通していい経験もたくさんあった。誰も見向きもしなかったこの集落に外からたくさんのボランティアの若者がやってきた。この山菜料理みたいに、いままで当たり前に思っていた木沢の風習を、外からの人たちが認めてくれ、自分たちの持っている伝統を見直すきっかけになった。地震の前より元気になったよ」
 星野さんは続けます。
「ある人が来てね、じゃあその“元気”っていうのは何ですか?って聞くんだよ。俺は即座に答えたね。“孤独の解消”だって」

なるほど。人口がどんどん減っていく集落。若者たちは集落をすでにあとにし、村の活気は薄れるばかり。でも、伝統的に山奥深いこういった村ではよそ者に対しては概して閉鎖的で、新参者を積極的に受け入れるという空気はありませんでした。それが、震災後にボランティアの人たちが来て、
「人に会うのが楽しくなった」とのこと。孤独を感じなくなったのが復興事業が村にもたらしてくれた最大の恩恵だったようです。

平成15年に閉校になった村の小学校は、いまは「やまぼうし」という名の宿泊施設をもった交流センターとなり、木沢集落の伝統を伝える施設となっています。
「この間までベトナムの学生が15人も来ておった。いや、まだ雪がいっぱいで寒いはずなのに、半そでではしゃいでおったよ。何言っているかまたくわからんがな」
と星野さん。海外からのお客さんとの交流さえも十分楽しむ余裕がすばらしい。
(しかし、木沢の言葉も、私にはまったく聞き取れません!)

 こういった、外部の人と交流で住民がみな前向きになってきたそう。
「この間、長岡であった地域物産展みたいので、いつもは“米、出せばいいんでないの?”って感じだったのが、今年は“いのしし鍋”出そうってアイデアが出て、挑戦したんだよ。一番人気で、売り切れ。鍋の底まできれいにさらっとったよ」

佐竹さんも言います。
「正子さんが中心になって女性たちの会も何とかでき、奥さんに“会の名前考えください”といったのですが、最初は“会なんて大げさなのはいらないよ。いつもお茶飲んでいるのとおんなじ面子だから「オチャの会」でいいいだろが“と言っていました。それが、「山菜郷土料理がすごい!」っていわれるようになって、正子たちのほうから、”会の名前を考えた。「スミレの会」にしたい”っていうんですよ。木沢集落の女性たちは、伝統的にずっとご主人の後ろで控えめにしていたのが、積極的になってきたんです」


    ↑木沢に向かう道から。木沢は棚田でも知られているそうです。
     ますますコーディリエラと共通項多し!

 こんな復興活動を支えているのが、(財)山の暮らし再生機構の「地域復興支援員」の方々。集落に通い、お年寄りとひざを突き合わせて話を聞き、集落のいいところを発見し、それをどう復興に生かしていくかのアイデアを練り、実行に移していく人たちです。
山の暮らし再生機構・川口サテライトの星野晃男氏がおっしゃっていました。
「このあたりは田中角栄のお膝元だったところで、力の強い政治家に陳情すれば“何とかしてくれる”という他力本願的な考えが根底にあって、なんでも行政だのみでした。でも、復興は住民自らがやる気になって動かなければ意味がないのです」
その住民主体の復興をサポートするのが地域復興支援員の役割というわけです。

 台風ペペン(17号)の被災地の長期復興に、この地域復興支援員のようなシステムを導入できないだろうかというのが、中越防災安全推進機構の河内さんのアイデアです。

 コーディリエラ山岳地方も、道路や電気の普及などのインフラ整備が極端に遅れているのと、先住民ならではの閉鎖性で、独自の貴重な伝統文化を色濃く残しているにもかかわらず、近年の情報と市場経済の流入で住民自身が伝統文化の価値を見出せずにいます。失われ去ろうとしている文化や風習の保存と被災からの復興を、木沢集落の例を参考にしながら、模索していきたいと思います。

ところで、木沢の盆踊りは仮装盆踊りだそう。今度はぜひその時期にお邪魔したいです!

木沢集落を含む川口町の震災復興と地域復興支援員の方々の活動は、えちご川口交流ネットRENのHPで。
http://www.echigo-kawaguchi-ren.jp/
  Homepage: http://www.ph-inside.com
Updated: 2010/04/21

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