1928年に竣工した6階建ての『ファースト・ユナイテッド・ビル』は、マルコス時代の政商で、エドサ政変でアメリカに逃げたのにいつの間にか復権した人物が所有する銀行の物と前回書いたが、その1階に写真-1のようなスペースがある。

【写真-1 もったいない使い方】
このスペースでは『サタデー・マーケット』と名付けて、毎週土曜日にフリー・マーケットを開催しているが、写真のように小さく小間割りして常設の店が並び、普通の日でもいくつか店は開いている。
ここには首都圏の意識の高いアーティストなどが出店していて、主に小物を扱っているが独りよがりの感じがしないでもなく、日曜日に関わらず閑散としていた。

【写真-2 既成のプラスティックのざるなどで作っている】
このスペースはかつてここで営業していたデパート跡で、剥き出しの天井が見え、写真-2は奥の方に飾ってあったオブジェで、コンクリート剥き出しの中で、躍動感を感じる。
この写真で分かるようにこのビルは上部階へ抜ける吹き抜けが造られ、当時としてはかなり進んだデザインであり、梁や柱の造りもかなりしっかりした構造で、竣工後100年近く経ってもビクともしない様子が分かる。
今出来のビルは長く持たせる考えなど無い使い捨てで、半世紀も持てば良い方で次々と建て替えられしまい、かつて丹下健三設計の高層の赤坂プリンス・ホテルが簡単に壊され、建て替えられたなど悪しき例がある。

【写真-3 この時間帯に客は我々と1人のみ】
こういうスペースはもう少し活用した方が良いと思うが、その中に喫茶店があり、写真-3はその店内の様子で、店内には面白い椅子が置かれて雰囲気としては悪くはないが、頼んだコーヒーはあまり美味くない。
フィリピンでは機械でドリップをするのが主流だが、豆の鮮度や状態などお構いなしで、このやり方がコーヒーを不味くしている。
また、コーヒーを淹れる店員が機械的にコーヒーを淹れているだけで、当人が自分の淹れたコーヒーを飲んだことがないのではと思わせ、自分で味見をしていなければ美味い物は出せない。
 
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