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セブでヴァレンタイン - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  セブでヴァレンタイン
 

 フィリピン人の知人が大きなチョコレート・ケーキを持ってきたので、珍しいことをするなと思ったら『今日はヴァレンタインだよ』といわれて、今日2月14日がヴァレンタインだと気が付いた。

 ケーキは日頃世話になっているからという理由だが、日本と違って訪問時に手土産を持ってくるのもフィリピンでは珍しい方なので、特別な日とはいえフィリピンも少しずつ生活が変わって来ているのが分かる。

 

 特別な日と書いたが、ヴァレンタインというのはカトリック聖人のヴァレンタインから来ていて、カトリックの信者の多いフィリピンなら、さぞや大きく祝っているだろうと思うが、教会内ならともかく宗教的にはどうという感じにはなっていない。

 

 それでもヴァレンタインは『愛』を象徴するため、この日に結婚式を挙げる集団カップルが地元の英字新聞に写真入り記事として載っていた。

 

 こういう特別な日に集団結婚式を挙げるのはフィリピンでは他の日にもあって、個別には思い出せないが自治体とか警察、軍隊のような組織がスポンサーになり挙行され、スポンサーの売名だ、宣伝だととやかく言ってもカップルは幸せに浸っているから仕方がない。

 

 聖ヴァレンタインに便乗したのが日本のヴァレンタイン・ディーで、この日に女性から男性にチョコレートを贈る、贈ったで、狂騒状態となるのが年間行事として定着している。

 

 ヴァレンタイン・ディーにチョコレートを贈るというのは日本の商魂逞しい企業が始めたのは誰でも知っているが、これはキリスト教徒でもないのに12月25日にクリスマスを祝いケーキを買って食べるのと同じだが、誰が困る訳ではないから目くじらを立てても仕方がない。

 

 このヴァレンタイン・ディーに日本でチョコレートを贈るようになったのはいつからかと考察されているが、戦前説と戦後説に分かれている。

 

 国産チョコレートは1918年(大正7年)に森永製菓の発売を嚆矢としているから、既に100年以上の歴史を持つが、ヴァレンタイン・ディーのチョコレート戦前説は1936年(昭和11年)に神戸の菓子会社『モロゾフ』の英字新聞広告を根拠とするが、直接的にチョコレート販売促進と結びついていないとの指摘もある。

 

 モロゾフの新聞広告は2月12日に載ったが、その2週間後の26日に『2・26事件』が発生し、日本が軍国主義に急傾斜した時代で、そういう暗鬱な時代に入る時でも嗜好品はまだ普通に流通していたことが分かる。

 

 ちなみに1936年(昭和11年)は、5月に昭和の猟奇事件と知られる『阿部定事件』、7月にはスペイン内戦勃発、11月にフランコ側が勝利し独裁政権、ファシズムが世界を覆うようになる。

 

 8月には水泳の『前畑ガンバレ』で知られ、ナチス政権が前面に出た『ベルリン・オリンピック(第11回)』が開催され、その前月の7月にはベルリンに続く第12回オリンピックが東京に決定する。

 

 この東京大会は戦争のために幻の大会となるが、ナチスのドイツ、軍国主義の日本とオリンピックが時の権力に都合良く使われているのが分かり、これは1964年のアジア最初の東京オリンピックも同じで、その流れは次回2020年東京オリンピックにも引き継がれている。

 

 そういったきな臭い時代でも2月にプロ野球が発足し、その年の12月に巨人の沢村栄治が日本で最初のノーヒット・ノーランを達成する。

 

 この沢村も1944年12月、2度目の応召でフィリピンへ向かう輸送船に乗っている時に、屋久島西方沖で潜水艦攻撃を受けて沈没、戦死していてあらゆる場に戦争の影は及ぼしている。

 

 当時の映画では1936年にチャップリンの『モダン・タイムス』がアメリカで製作され、その2年後の1938年に日本で封切りされていて、戦前からチャップリンの映画は日本で公開されているのが分かるし、人気があった。

 

 この年は『国家総動員法』が出来、日本のファシズム化は進むが、まだチャップリンの映画を観る余裕はあるものの、この映画の資本主義を揶揄した意味が日本の頭の固い検閲官には分からず、誤って公開されたような気もする。

 

 阿部定事件を先述したが、都電で通学をしていた中学生の頃、車内にこの阿部定の名前を大きく書いた広告がぶら下がっていたのを想い出した。

 

 これは星菊水という料亭が阿部定の名前と接待を売り物に宣伝を打っていて、昭和も30年代以降になると事件は好奇心だけに変わったようだが、今の馬鹿馬鹿しいテレビのワイド・ショー番組には阿部定など出演者としては適材のような気がする。

 

 その後阿部定は生死不明で歴史の中から消えたが、文学や映画では多く取り上げられ、大島渚の『愛のコリーダ』など問題作にして名作を生んでいる。

 

 さて、ヴァレンタイン・ディーのチョコレートの由来に戻るが、戦前のモロゾフ説に対して戦後の『メリーチョコレート』説がある。

 

 メリーチョコレートは現在は製菓大手のロッテ傘下に入っているが、モロゾフの菓子職人であった人物が1949年に創業し、一度潰れて1952年に再開し現在に至るが、1958年2月12日から12日にかけて新宿伊勢丹でヴァレンタイン・フェアーを開催している。

 

 これがヴァレンタインとチョコレートの結び付きの始まりと見る向きは多い。もっともこの時のフェアーではいくらも売れなかったというから、時代の先駆者には苦労が付いているのは変わらない。

 

 このメリーチョコレート説で思い当たるのは、やはり中学時代の話になるが1年生の時、同級生からチョコレートをもらった記憶があり、その時は数人がクラスで配っていたが、何でチョコレートなどくれるのかと不思議に思った。

 

 通っていた中学校は都心に近く万事進んでいて、千住の小学校から来た小生としてはヴァレンタイン・ディーに女性がチョコレートを贈るなど知ったのはずっと後で、千住が東京でも田舎であったことを物語る。

 

 今思うと、メリーチョコレートがヴァレンタイン・フェアーを開催した翌年に、もう中学の同級生は知っていたのだから、以降爆発的に流行する予兆はあった。

 

 ヴァレンタイン・ディーの時期にはチョコレートの売り上げが年間の20%以上を占めるというから、業界としても力を入れるし、世間も義理チョコと本命チョコなどと面白がって捉え、この時期の風物詩となったが、ヴァレンタインが俳句の季語になるのかと歳時記を開いたら見当たらなかった。

 

 字余りのせいかと思ったが夏の季語にアイスキャンディーとかアイスクリームが入っているので、それが理由でもない。

 

 ではヴァレンタインと繋がるチョコレートは季語になっているのかと見るとやはり季語にはなっていなくて、新しい慣習のヴァレンタイン・ディーは俳句の世界とは遠いのかとも思うが、季語ではなく他の言い回しでヴァレンタイン・ディーは表現できるからあまり拘らなくても良いようだ。

 

 最後に、日本では女性から男性へチョコレートを贈るが、フィリピンではこの日は男性から女性に贈るようになっていて、フィリピンに住んだ当初は女性から催促されて面食らった覚えがある。

 

 フィリピンではチョコレートではなく別の物を贈るが、薔薇の花を贈るのが流行っているようで、この時期のフィリピンの薔薇の花を扱う業者は年間売り上げでも相当の割合を示すというから、日本のチョコレート騒動と似たところがある。



  Homepage: http://cebushima-blg.jugem.jp/
Updated: 2019/02/17 (日)

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