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5月13日の選挙とマルコス一族 - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  5月13日の選挙とマルコス一族
 

 今年の513日(月曜日)にフィリピンは、正副大統領を除く上下院議員、自治体首長、自治体議員の選挙が行われ、全国区の上院議員と政党別比例選出下院議員は投票日3ヶ月前に入ったので選挙戦が開始されている。


 ただし、選挙運動が解禁されていない各種議員や首長候補者も便乗して選挙運動を大っぴらにしていて、街にはそういった違反の候補者写真と名前を書いた幕や看板が大量に溢れている。

 こういう違反には選挙管理委員会が取り締まると警告を出しているが、本気で取り締まる気は全くなく野放し、候補者陣営も金に任して売名をしその恩恵を受ける、選挙関連の業界は特需景気。

 何でもありのフィリピンだが、1986225日にフィリピンを逃げ出したマルコス一族の復権が目立ち、3年前にあった副大統領選ではマルコスの長男が立候補し僅差で落選したが、復権を確実にした。

 マルコスの独裁時代など知らない世代が多くを占める時代のためもあるが、あれほど石もて追われたマルコス一族の人間がそこまで行くのかと驚いたし、フィリピン人というのは日本人同様に忘れっぽいと思った。

 マルコス一族はルソン島の西海岸最北端にある『北イロコス州』出身で、この州はルソン島でも貧しく、今ではフィリピンの国策となっている貧しいが故の『海外出稼ぎ』はこの州から始まったと言われている。

 また、南北イロコス州地域に住む人々は『イロカノ人』と分類され、男は色浅黒く精悍な顔をしているために首都圏で警備員に重用され、確かにこの地方を旅行するとフィリピンの中では雰囲気が違う感じを受ける。

 ルソン島は南北に長いために地域に住む部族によってその気質は違い、『ビールの入ったグラスに蠅が入ったらどうするか』という有名な地域気質を物語る例え話がある。

 この例え話は『イロカノ人は蠅を取り出しその蠅を絞ってビールを飲み、タガログ人はグラスから蠅を取り出して飲み、ビコール人はグラスのビールを捨てる』とある。

 タガログというのは首都圏地域の部族だが、政治や官界に昔から強く、フィリピンはタガログの国だと思っていて尊大だと批判されるが、歴代大統領もタガログ族出身者が多い。

 またフィリピンの公用語として『ピリピノ語』を定めているが、これはタガログ語を改めた言語でありながらテレビでも映画を通じてタガログ語の浸透は激しく、各地方の固有の言語を持つ部族からは不承不承という感じで国内を席巻している。

 ビールの中の蠅を絞って飲むイロカノは貧しいが故の吝嗇、タガログは実利故の気取り屋、ビコール人というのはルソン島南部地域に住む部族で、ビコールは後先考えない見栄っ張りという解釈になる。

 さて、マルコス一族に戻るが、225日にアキノが大統領就任宣言をし、マルコスは当時のアメリカのレーガン政権に見放されて、マラカニアン宮殿から脱出をし、無政府状態になった宮殿に人々が押し寄せて略奪があり、イメルダの靴が数千足あったなど豪奢な生活ぶりが暴露され、世界的なニュースとなった。

 

 イメルダは当時首都圏開発の閣僚級ポストに就き、同庁主催の何かのパーティーがあり、小生が属していた組織にも招待状が来ていたが、小生など野次馬でイメルダと話をする機会になると思ったものの、既にイメルダの悪名は鳴り響いていて喜んで出席する者はなかった。

 

 このイメルダ、ハワイに一族で逃亡後にいつの間にかフィリピンに帰っていて、北イロコス州で復活し、現在は同州選出の下院議員となるが、上下院議員を通じて最高齢という存在で老醜を晒している。

 

 この北イロコス州の知事はイメルダの娘アイミーが長年座を占め、次のステップとして今年行われる上院選に立候補し、今のところは12人が当選する圏内に入っているというから、マルコスの威光はいまだ健在である。

 

 アイミーの空いた知事の座はマルコス一族の者から出し当選確実になっているが、こういった一族が地域の政治の座を延々と座り続ける構造をフィリピンでは『政治王朝』と呼んでいるが、民主主義を標榜するフィリピンでもその実態は北朝鮮と変わらない政治体質が続いている。

 

  こういった政治王朝が起きるのも政治に関わると『利権』を得られるためで、これは中央も地方の区別なくそこから入って来るリベートなどが王朝の成立と成長を助けている。

 

 マルコスの場合、従来不確定であったリベート率を動く金の額によって決めていたとの話があり、賄賂を贈る方としては交渉に時間を取られなく早く決まると好評で、これは日本政府が絡むODAでも同じで、日本の税金がいくらマルコスの懐に入ったか分からないが巨額であることは間違いない。

 マルコスの賄賂額で有名なのは『バタアン原発』プロジェクトがあり、このプロジェクトはほぼ完成していたが、マルコス逃亡後はアキノによって凍結され、世界で唯一完成したが稼働しない原発として有名となっている。

 

 このバタアン原発は当時の金で6000億円近くかかっているといわれ、マルコスは少なくても10%程度のリベートを懐に入れていると見られ、そうなると600億円になり、マルコスが国の金を盗んだと言われる指摘は的を得ている。

 

 こういった不正に溜め込んだ金はスイスの銀行口座に預けられているために全容解明は難しいが、それでも一部は裁判の末明らかになっていてその額は1000億円を遥かに超えている。

 

 こういった回収された資金はマルコス独裁政権時代に弾圧され、殺された遺族などに分配されるように法制化されているが、具体的に補償されたという話を聞かず、不正蓄財を取り上げられたマルコス側も謝罪はおろか支払う気もない態度を表明している。


 マルコスの弾圧時代に検事に任官したのが現大統領のドゥテルテで、当然、ドテルテはこの時代に人権侵害を受けた容疑者を取り調べ、起訴を行いマルコス独裁体制のお先棒を担いだと思うが、検事時代のドゥテルテのマルコス体制への加担を暴かないのか暴けないのかフィリピンのマスコミも沈黙を続けている。

 ドゥテルテは常々『マルコスには恩義がある』と公言し、その意味するところは不明であるが、ハワイで亡くなり北イロコス州に安置されていたマルコスの遺体を国立の英雄墓地埋葬を許可している。

 
 マルコスの遺体を英雄墓地に埋葬する問題は歴代政権の課題となっていて、ドゥテルテ以前は埋葬許可を出さなかったが、これが簡単に埋葬されたためにドゥテルテの選挙資金はマルコスから出たとの噂も流れた。

 フィリピンの正副大統領選は通常組んで選挙戦を戦うが、ドゥテルテの場合は首都圏タギッグ市に政治王朝を築いている一族の人物と組んだが、先述の次点になったマルコスの息子に次ぐ3位となり惨敗。

 この人物、上院議員で姉も上院議員でこの姉は割合人気が高く、2期上院議員を務めた後に規定で連続3選は出来ないので、地元のタギッグ市選出の下院議員に1期席を置いて今度の上院選に復活を狙って立候補し、当選は固いとされる。

 さて副大統領選に落ちた弟は1年後、ドゥテルテによって外務長官に任命され1年半ほど在籍するが、あからさまな救済人事と批判されるもののドゥテルテも当人も平然としていて、これ位の厚顔でないと政治屋は務まらない。

 そのドゥテルテ、選挙後に僅差で負けたマルコスの息子と本当は組んで選挙を戦いたかったと発言し、やがて副大統領に当選した野党のロブレドを閣内から追い出し、フィリピンの政治は理性より怨念が渦巻いていると印象付けた。

  Homepage: http://cebushima-blg.jugem.jp/
Updated: 2019/03/07 (木)

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