2020年アメリカ大統領選挙の開票を巡って混乱していると報道は伝えているが、それは誤りで通常と変わらないという見方もある。 
【クリスマスまでにはアメリカのゴタゴタも終わるだろう】
開票が長引いているのは記録的な投票率によって投票数が想定以上に増えて事前に用意していた開票人員と機器の対応と用意が間に合わず、また郵便投票が激増してその手間が増えているためで、開票作業そのものには混乱はなく物理的な問題のようだ。
また、開票作業というのは日本の場合、自治体で速さを競って自慢するように投票日夜からの開票で深夜には判明してしまうが、これは日本人の勤勉性と深夜作業は当たり前という風土から来ているもので、アメリカは勤務時間終了の午後5時になれば開票作業を行わない自治体も多く、これが票数がなかなか動かない一因になっている。
国が違えばやり方は違っていても当然で、それを日本と比べて遅いだとか混乱していると、さも問題がある様に報道している日本のメディアの取り上げ方の方に問題があるのではないか。
今回2020年選挙の大勢が決しているのは明らかで、それに対してトランプはみっともなさを世界中に発信しているが、元々、この人物の地であるからただ呆れるばかりだが、アメリカ人の恥を拡散していることには間違いない。
自陣の選挙の形勢が悪くなると『あれはインチキだ』とトランプは吠えまくっていて、特に郵便投票分が開票されてからは郵便投票そのものがインチキだといい出しているが、郵便投票は元々制度としてあったもので、ルールが気に食わないから否定するなど言語道断だが、それに煽られて追随する支持者連中もかなり頭の中味は劣る。
さて、現在バイデンは選挙人264人を獲得し当選に必要な270人まであと6人に迫り、対するトランプは214人で、この2日以上数字が動いていない。
あと6人を獲得すれば良く、注目されているのは6人の選挙人を抱えるネヴァダ州で、今の所僅差でバイデンはリードしているが、ごく一部のメディアしかネヴァダでバイデン勝利とは伝えていない。
最新の発表によるとネヴァダではジリジリとトランプが票差を縮めているので、誤報を怖れてバイデン勝利と打ち出せないらしいが、過去の選挙結果を見るとネヴァダは民主党の強い州である。
前々回、2012年大統領選はオバマが再選された選挙で、次の2016年ではヒラリーがトランプに敗れた選挙だが、この時でもネヴァダは民主党が勝利しているので、票差は僅差であろうがバイデンの勝利は固いのではないか。
アメリカ大統領選は州ごとの選挙人を獲得するレースだが、その傾向を分析というのは大袈裟だが、俯瞰して見ると今回の選挙の結果が見えて来る。
トランプが当選した前回2016年選挙の勝因は五大湖周辺の工業州、いわゆる『ラスト・ベルト』で勝利したことといわれるが、確かに2012年オバマ再選の時と比べると、その見方は合っていることが分かる。
オバマの時はこれらの州を全部獲得し、フロリダでも勝利しているが、今回バイデンが勝利したアリゾナでは負けている。
ところが今回の選挙結果状況を見ると、ヒラリーが失ったウィスコンシン、ミシガンでバイデンは勝ち、アリゾナでも勝っていて、しかも選挙人の多いペンシルベニア、ジョージアでバイデン勝利が有力になっている。
トランプは決戦場としていたフロリダで勝利したから選挙に勝利したのだといっているが、元々前回選挙でトランプが勝った州であり守っただけに過ぎず、テキサスも同様で強がりの何物でもない。
トランプが敗北したのは前回得た州を落とし、バイデンが従来の民主党地盤州を死守し、しかも5州で取り返したことによるもので、選挙を陣取りゲームと考えれば自明の理である。
そういった事実を認めないというか認めたくないのがトランプで、裁判闘争に持って行って混乱状態を作り出しているが『悪足掻き』でしかなく、裁判そのものは毎回起きていることで行事の様なものである。
このトランプの悪足掻きは、落選してしまうとトランプ自身は勿論、一族は破産し脱税などの容疑で訴追され刑務所の塀の内側に落ちるという見方があるためで、何が何でもそれを避けたいトランプだが、汚いことは何でもやるさすがのトランプも投票結果には手を上げるしかないであろう。
こうして、世界中の目を釘付けにするアメリカ大統領選だが、前回の2016年時には共和党はトランプ-ペンス、民主党のヒラリーと組んだのは誰だか思いだせず、調べてみるとティム・ケインであったが記憶に残る名前ではない。
この人物は民主党の強い東部、元ヴァージニア州知事、副大統領選落選後も上院議員を務めるが、この州は今回もバイデン勝利であった。
ではその前の2012年選挙では民主党は再選を狙うオバマと今回大統領選に出て勝利間違いないバイデンで、考えてみればバイデンも雌伏何年という人物といって良く、そういう意味では天晴ではないか。
その時のオバマに対抗した共和党側は全く記憶になく、こちらも調べてみるとミット・ロムニーポール・ライアンで、ロムニーは民主党の強い東部の元マサチューセッツ州知事、上院議員を務め共和党の中で公然と反トランプをいっている人物だが、こちらの方は記憶に残る。
一方の副大統領候補として組んだポール・ライアンは下院議長までやった人物だが、昨年をもって下院議員職から引退しているがまだ50歳で、確か引退理由は家族のためと聞いたような気もするがアメリカらしい身の引き方ではある。
こうして、過去の選挙は誰と誰が戦ったなど忘れてしまうもので、世紀の接戦といわれる2020年アメリカ大統領選も、誰と誰が候補者であったかなど忘れてトランプという頭のイカレた大統領が再選出来なかったなという程度の記憶になってしまうのではないか。

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