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セブでマゼランが戦死して今年は500回忌 - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  セブでマゼランが戦死して今年は500回忌
 

 2021年は大航海時代の人物と知られる『フェルディナンド・マゼラン』が、世界一周中にフィリピンに到達の後、セブのマクタン島で戦死して500年目になり、観光業界などは早くから記念行事を抱き合わせて盛大に観光客を呼ぼうと計画していたが、新型コロナ感染騒ぎでそれどころではなくなった。



【写真-1 手前の方には広場を挟んでセブ市役所がある】

 また、カトリック教会もフィリピン布教はマゼランから始まった節目の500年なので、同じように盛大な記念行事を目論んでいたが、やはり地味な扱いにせざるを得なくなった。

 マゼランはポルトガル人なので本来はフェルナン・デ・マガリャンイス(Fernão de Magalhães)と読み、スペイン語ではフェルナンド・デ・マガリャネス(Fernando de Magallanes)となり、ややこしいので一般的なマゼランとする。

 日本語読みのマゼランでも『マジェラン』と表記する者もあり、小生もかつて書いた文章を読むと『マジェラン』と書いてあるが、今後はマゼランと表すようにする。


 

 スペイン名のマガリャネスは今でもフィリピンの有名な街路に名前が付けられセブにもあるが、読み方はスペイン語と同じで、英語読みのマゼランにはなっていないから面白い。

 マゼランは『大航海時代に人類史上最初に世界一周』した人物としてかつては学校で習ったが、やはり途中のセブで死んでいるということで今はそういう扱いは少なくなり、『マゼランの指揮した艦隊が史上初の世界一周』という記述が多い。

 マゼランの艦隊は1519年のスペイン出港時は5隻、乗員300人近かったが、世界一周を終えてスペインに帰った時は『ヴィクトリー号』1隻のみ、18人しか帰還出来なかった。

 艦隊はスペインを発って南米大陸南端の未知の海峡を抜けて太平洋に出るが、これが今も名を残す『マゼラン海峡』で、同時に大西洋から太平洋へ抜けた史上初の船となった。

 太平洋へ抜けた後、一行は1521年3月6日にグアム島へ到達するが、マゼラン一行は軍隊でもあり、寄航した南米やグアム島で多くの住民を殺したり家屋を焼くなどかなり残虐なことをしているが、世界史の上では触れたくない事柄になっている。

 グアムに寄ってフィリピン沿岸に到達したのが1521年3月16日で、サマール島南端沖合いにある『ホモンホン島』に上陸し、水や食料を補給するが当時は無人島で、現在は4千数百人が住むというから500年の時間があるとはせよ、フィリピンの人口が爆発していることが分かる。

 3月28日にはレイテ島南端にある『リマサワ島』に上陸し、一行はここでフィリピン宗教史上初めてカトリックのミサを行っていて、これからフィリピン・カトリックにとっては聖地になっている。


 

 4月7日にセブ島へ着き、セブ島の有力者達をカトリックに帰依させ、その時持ち込んだ木の十字架があって、現在『マゼラン・クロス』【写真-1】と呼ばれる場所に安置されている。
 



【写真-2 本当に中の十字架は年代的に合うのか測定して欲しい】


 この十字架【写真-2】、実際はマゼランの時とは別の物らしく、それでも霊験があると削られたために木で十字架状の鞘を作ったのが今に伝わり、チャペル状の建物はセブ観光の目玉にもなっている。

 

 同時にマゼランが持ち込んだとされる『サント・ニーニョ像(幼きイエス)』が、マゼラン・クロスの後ろ側に建立されたサント・ニーニョ教会の秘仏として安置されていて、毎年『シヌログ』と呼ぶ盛大な祭りが行われているが、今や宗教的意味は薄れ年に1度の巨大客寄せイヴェントと化している。

 

 マゼランゆかりの十字架だとか幼き像など、この手の話はカトリック教義を崇める人にはただ信じるだけだが、小生のような門外漢はこれらを科学的検査をして、本当にマゼランゆかりの物なのかはっきりさせた方が良いと思うが、この手の物は神秘性があるからこそ信じるようだから無理な話か。
 



【写真-3 最近ラプ・ラプの肖像が入った5000ペソの記念紙幣が出た】


 マゼランが軍事力と宗教でセブの人々を従えている中、唯一従わなかったのがマクタン島を支配していた『ラプ・ラプ』【写真-3】で、4月27日、マゼランは手兵60人をを率いて船でマクタン島に上陸するが、ラプ・ラプは千数百人で迎え撃ち、浅瀬で戦闘が行われてマゼランはその地で戦死する。

 人数的に敵わない点もあるが、マゼラン側は重い甲冑を着けていたために浅瀬の水に足を取られて思うように動けなかったなどと見ていたような解説もあって、マクタン島に上陸するならもっと良い場所はいくらでもあったから上陸地の判断ミスということはいえる。

 その戦闘が行われた場所に、現在マゼランを埋葬した場所に碑が建ち、すぐ傍には写真-3のマゼランを迎え撃ったラプ・ラプの銅像もあり、やはり観光客が多く訪れる名所となっている。

  いつの頃からか知らないが、このマゼランとラプ・ラプの戦いを記念して『バトル・オブ・マクタン』という戦闘シーンを再現した催しが4月27日同地であり、観光客を呼ぶために登場人物を著名芸能人に扮装させているが、こうして祭りというのは形成されて行くのであろう。

  3月18日にマゼラン500周年の記念碑の除幕式がゆかりのホモンホン島であり、その沖合いにスペイン海軍の練習帆船『フアン・セバスティアン・エルカーノ号』【写真-4】スペインから航海をして沖合いに停まり花を添えた。


【写真-4 デジタルの時代になろうとも帆船で学ぶ作業は重要】

 

 この帆船はスペインに戻った18人の内の1人ヴィクトリー号の船長であった『フアン・セバスティアン・エルカーノ』の名前を命名したので、スペインでは相当な英雄になるのであろうが、この人物2度目の世界一周航海を試みて太平洋上で病死、50歳であった。

  ちなみにヴィクトリー号でスペインへ生還した18人の国籍を見るとスペイン人11人、イタリア人4人、ギリシア人2人、ドイツ人1人と意外と多国籍であることが分かる。

  帆船『フアン・セバスティアン・エルカーノ号』は1927年進水というから、先の大戦を潜り抜けたかなり年期の入った船で、3673トン、全長113m、4本あるマストの最高は48.5m。

  横浜に保存されている重要文化財指定の帆船『日本丸(初代)』は1930年建造だから時代的には近く、日本丸は2278トン、全長97m、4本マストでマスト高は46m、『フアン・セバスティアン・エルカーノ号』よりはかなり小さいのが分かる。

  スペインから帆船をフィリピンまで回航したのはご苦労なことではあるが、マゼラン以降フィリピンは数百年に渡ってスペインによる植民地支配を受けたのも関わらず、結構スペイン贔屓のところがあって、代表的なのは『俺はスペインの血を引いてる』ではないか。

  フィリピンで一、二を争う『アヤラ』という財閥があって、その人々は見るからにスペイン人であり、結婚相手はスペインに行って選んでいるという話があるくらい徹底していて、スペインもフィリピンも二重国籍を認めているから経済活動や社会活動も何の差し障りもない。

  スペインの後にはアメリカの植民地となったフィリピンだが、こちらも憎悪されることなど皆無で、フィリピン人はアメリカへ移住出来るのを最大の目標、夢としているから植民地の後遺症などスペイン同様全く見られない。

  こういう国柄でも、かつての植民地支配を搾取、泥棒と見做すのは当然あるが、反感を持つことはなく、この点日本の韓国、台湾の植民地支配を彼の地から悪しざまにいわれ、永遠に糾弾されるような状況とはかなり違う。

  これは韓国人と中国人とフィリピン人のメンタルが違うためだと説明する向きもあるが、やはり日本は相当酷いことをやっていたことを認め、直視しないと解決には向かわないのではないか。

  フィリピンではスペインは『宗教』、アメリカは『教育』を、日本は『憎悪』を持って来たと比喩されていて、こういう比喩が残る限りフィリピンは友好的、日本贔屓などとは言えず、もし日本人がそう思っているとしたら、それが問題なのである。


  Homepage: http://cebushima-blg.jugem.jp/
Updated: 2021/04/01 (木)

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