2月9日に日本の新型コロナ累計感染者数はフィリピンを抜いが、その後も日本の感染者数は減ることはなく両国の差は開く一方である。

【写真-1 セブでは有名な病院前の緊急外来にはコロナ感染者が並ぶ】
この感染者数統計だが、フィリピンは『Department of Health=DOH』即ちフィリピンの保健行政全般を行う『保健省』が毎日発表している数字で、日本は政府というより自民党の広報部に成り下がっているNHKが毎日発表している数字を記している。
以前は大手新聞も毎日数字を細かく掲載していて、その中で分かり易い毎日新聞の統計を記録していたが、ある日統計方法を変えて、その掲載数字が意味不明で分かり難くなったのでNHKに変えたが、本来統計というのは一貫した出所元でないといけないのだが、それ程目くじらを立てる物でないので乗り換えた。
日本の大手紙は新型コロナの感染者数、死亡者数など毎日掲載していたが、いつの間にか止めてそれらしき掲載があるのは分かり難くなった毎日新聞だけで、これはどうした事かと考えるが、表向きは数字の羅列など何の意味もないと見たのかも知れないが、政府から爆発状態の数字を載せないでくれとでも言われたためではないか。
勿論、記事としては毎日何県で何人が感染し、過去最高だといったような記事はいくらでも載っているが、海外から見れば全体の数字が分かる以前のような統計の乗せ方の方がピンと来る。
さて、2022年1月のフィリピンと日本の数字比較だが、1月4日から記録してあり同日のフィリピンの累計感染者数286万人、対して日本は173万人と113万人も差があり、これだけ差があれば抜くようなことはあるまいと思っていた。
死亡者数を見るとフィリピン同日でフィリピン5万1662人、日本1万8410人と感染者数に比べてフィリピンの死者数の多いことが異常に多いことが分かり、これは医療体制の違いも大きいが、健康保険成熟の日本と健康保険未成熟の国力の差で、金がないと病院へ行けないフィリピンの現実が如実に出ている。
約一ヶ月後の2月1日にはフィリピンの感染者数356万人、日本は282万人と一ヶ月でフィリピンは70万人増、日本は104万人増と増え方は日本の方が大きく、それもそのはずで日本は1日当たりの感染者数が10万人などという数字が続く。
2月9日にフィリピン361万人、日本358万人とその差は近づき、翌10日にフィリピン362万、日本368万人で累計感染者数は逆転し、この数字を見ても分かるようにフィリピンは1日に1万人しか感染していないのに日本は10万人も感染していて、いかに感染爆発していたかが分かる。
その後も差は開く一方で、3月1日ではフィリピン366万人、日本507万人となっているが、フィリピンなど1日の感染者数が1000人台にまで落ちているのに日本は連日7~8万人台を記録していて減る様子がない。
フィリピンで急激に感染者数が減ったのは一通り新型コロナの感染が行き渡り、いわゆる国民の間に『共同免疫』が出来たためではないかといわれているが、本当の理由は分からなく、この点が新型コロナの怖いところだともいえる。
フィリピンは4段階の防疫措置を設けているが、この急激な感染者数からフィリピン政府は今まで出していた防疫措置を緩め、3月1日からマニラ首都圏と近隣州などを今までのレベル2から一番規制の緩いレベル1に変更した。
このレベル1というのは従来通りの経済活動や生活に戻り、規制がマスクを着けるだけくらいになるが、このレベル1でも地域によっては規制を解除しないこともあるが、ほぼ元の生活に戻る。
ただし、この規制解除も例えばまだ感染者数が多い地域は少し規制の強いレベル2に据え置かれ、例えばセブや近隣州はまだレベル2であるし、自治体によっても規制の程度や範囲が違っているが、国全体には何となく山を越した感じは強い。

【写真-2 セブのある町の小学校 もう2年も教室での授業はない】
特に2020年3月以来2年間も閉鎖されている学校での授業を再開する動きは顕著で、これまで試験的に全国の小中高を選抜して通常授業を始めているが、感染予防のために学校を長期間閉鎖という国は少なく、2年間も授業をしていないというのは将来に禍根を残し、政府及び教育関係者の失策と批判されても良い。
フィリピンが学校の授業を2年間も止めた無意味なことを続けていたのは、大統領の新型コロナに対する無知、恐怖心からだといわれているが、フィリピンの学校の多くはトイレなどの衛生設備の不備、満足に水が出なくて手を洗うことも大変という環境の悪さもあって、集団感染が起こり易いことも学校の授業閉鎖という判断になったともいわれている。
そういえばモールなどのトイレを利用すると、利用後に手を洗わないで出て行く人は珍しくなく、ましてや自分用のハンカチを持っている人など見たことがなく、どうなっているのだと思ったことがあって、これは使用後には必ず手を洗うという教育の問題でもある。
さて、感染爆発の止まらない日本だが、もう慣れてしまったのか街を行く人々に緊迫感は感じられず、どう見てもなる様にしかならないと諦めさえ感じるが、新型コロナで亡くなった人が3月1日現在で日本は2万3914人、フィリピンは5万6451人も居る事実は忘れてはならない。

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