 第10代大統領マルコスの英雄墓地埋葬を巡って世論調査が行われ、賛成、反対が拮抗する結果が出た。
調査は3月4日から7日まで、1,200人の成人対象に民間機関が行った。
従来は埋葬反対が多数派を占めていたが、今回に至り墓地埋葬反対が49%、賛成が50%とマルコス側にとっては願ってもない結果となった。
これは本年2月に自身の汚職疑惑を拳銃自殺でかわしてしまった、レイエス元参謀総長が英雄墓地に埋葬されてしまったことと関係があると見られている。
中でも『英雄墓地には善人だけではなく、悪人も埋葬されているのだから拘ることはない』の意見がもっともらしく流布されている。
賛成の地域別では首都圏が58%の最高を占め、ルソンでは54%を超える。反対にセブを含むヴィサヤが46%、ミンダナオは40%と都を離れるに従って反対が増える傾向にある。
賛成が増えてもマルコスは『国家を略奪した大統領』との歴史認識が強く、世論としては容認する方向になっていない。
この埋葬問題はマルコスが逃亡先のハワイで1989年に死去し、その遺体がフィリピンに持ち込まれてから常にあったが、2010年に行われた国政選挙で妻のイメルダが下院議員、息子が上院議員に当選してからマルコス側の動きが目立つようになった。
この問題に対してアキノ大統領は、父親がマルコス政権に暗殺されたことや母親がマルコスを追放した時の当事者であるため、問題解決を副大統領に委ねている。
なお、マルコスの遺体の現在だが、故郷北イロコス州に保存されている。

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