 行政監察院は前政権アロヨの置き土産機関として、アキノ陣営から粛清の対象に晒され、先日は下院本会議でグチェレス院長の弾劾決議が可決されて上院に舞台が移された。
グチェレス院長を補佐しているゴンザレス副院長(写真)が今度は狙われ、職務怠慢を理由に政府から罷免された。
副院長職は院長職と違い政府判断で首がすげ替えられるための措置だが、その理由は2010年8月23日にマニラであった『バスジャック事件』の対応の拙さを指摘されている。
この事件では香港人8人が犠牲者となり、犯人の元警察官も射殺される大惨事の結果をなってしまった。
犯人は自己の免職を巡って行政監察院に再考請求をしていて、監察院側は通常、申し立てから5日以内に結論を出すと規定されているにもかかわらず、9ヶ月近くも放置していた事実が事件によって明るみになった。
しかも、犯人がバス内に籠城した時の通話記録から、ゴンザレス副院長が犯人に対して復職には賄賂15万ペソ(約27万円)を要求していたような経緯があり、バスジャック事件の遠因が行政監察院側にあると断定された。
犯罪を扱う行政機関が賄賂で動かされるフィリピンの実情が今回の副院長罷免を巡って露呈したが、汚職撲滅を目指すアキノ政権としては避けられない醜聞でもある。
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