 マニラ首都圏に近くベッドタウン化しているカビテ州イムス市(人口約30万人)では、3年前の市長選を巡って裁判闘争が続いているが、最高裁は4月11日、前月に自らが決定した判決を取り消し、3回目の集計やり直し命令を出した。 前回市長選は元市長と現職市長の争いで元市長が8599票差で勝利。
この結果に納得しない敗れた市長は地裁に提訴。2011年11月の地裁判決は敗れた市長側が695票差で勝利と地方選管の決定を覆した。
同じく納得しない当選した元市長は2012年9月、中央選管に不服を申し立て、中央選管は再集計の結果、8429票差で元市長が当選と決定。
これまた決定に納得しない市長側は最後の手段として最高裁に判断を求めた。
最高裁は2013年3月、元市長側の当選を認める判決を出した。
普通ならこれで決着するのが近代国家の最小限のルールでもあるが、フィリピンは最高裁判決が出ても『判決再考』という安直なシステムがあって何度でも審理をやり直す例が多く、延々と裁判闘争が続く。
敗れた市長側は最高裁判決の再考を求め、その結果が逆転判決、市長側に軍配が上げられ、3回目の集計やり直し命令が出た。
そんなドタバタを繰り返しているが、イムス市の市政は敗れたとされる現職の市長が継続中で、特に混乱がないのがフィリピン的。
ところが集計やり直しは既に2013年統一選挙が始まっていて実効性はなく、また今回の選挙でもこの両人が立候補して決着を付けようとしているので有耶無耶状態。
こういった滑稽ともいえる事態が持ち上がるのは、ヤクザの縄張り争いに等しい地方政治屋の権力、勢力争いと信頼できない選挙管理委員会、優柔不断な最高裁の姿勢が合わさったもので、フィリピンの典型的な事象といって良い。
【写真はイムス市全景】
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