9月9日からモロ民族解放戦線=Moro National Liberation Front (MNLF)のミスアリ派が市役所近くの住宅地を占拠し、包囲する国軍側と睨み合っているが、発生12日目現在、沈静化する様子はない。
これまでの戦闘で、双方の死者は117人に上り、内訳は民間人8人、国軍10人、警官3人、ミスアリ派96人となっている。
またミスアリ派が占拠地域の住宅地に放火を続け、これまでに分かっただけでも民家1万棟以上が全焼、半焼の被害を受けている。
これだけ放火の被害が広がったのは、ミスアリ派が放火に紛れて狙撃を繰り返すため消防活動ができなかったためで、自然鎮火に任せる状況が続いている。
このため、市内では被災民と難を逃れる市民が約2万4千世帯、12万人弱、この数は市の人口81万人(セブ市より人口は多い)の15%に当たり、被害は尚も拡大する模様。
こういった事態を受けて政府はアキノ大統領が13日から現地に詰めっきりで指示を出しているが、今回の占拠事件の損害を復興するために少なくても40億ペソ(約92億円)近くの政府資金を使うと表明。
詳細は被災住民支援に約21億ペソを当て、焼失した家屋再建に一世帯当たり一律10万ペソの支援。その他、30日分の食料支給(1億7800万ペソ)、被災民用仮設住宅建設(7億9700万ペソ)、小学~高校生への教育支援(1億700万ペソ)などが見積もられている。
戦闘状況だが、食料と弾薬の尽きたミスアリ派からの投降が相次ぎ【写真=国軍提供】、現在のミスアリ派の残存兵力は50人以下と見られ国軍は包囲網を狭めているが、まだ20人程度の民間人人質が居るとされ、最終的な掃討作戦は行われていない。
なお、占拠事件以来欠航していたサンボアンガへの航空便は19日から一部再開され、正常化される見通しだが、乗客が機内に持ち込める荷物はカバンのみで、預け入れ荷物は受け付けないという厳重警戒態勢が敷かれている。
こういった騒擾が収束に向かう中、20日午後5時半頃、占拠区域から直線距離で約36キロ離れた市内の路線バス車庫で、乗客を降ろした後のバス内で、車掌1人、車内清掃人2名が死亡する爆弾事件が発生、捜査当局はミスアリ派との関連は不明、犯人の特定作業を進めている。
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