中部ヴィサヤ地方を襲い同地に甚大な被害を与えた台風『ヨランダ』から2カ月経つ現在、被災地の停電復旧は大幅に遅れている。
この停電全面復旧には担当するエネルギー庁長官が『クリスマスまで全部が復旧しなければ辞任する』と大見得を切っていたが、達成できなく宣言通り辞任するかと見られたが、フィリピン特有の格好付けパフォーマンスで本人も周りもまともに受け止めていなかった。
現在、被災各地にある配電会社は1月上旬までに『全体で70%の復旧率』と発表しているが、町やバランガイ(最小行政区)などの中心地に配電できただけで、これを復旧と発表するトリックを使っている。
地元紙報道によると実際に電気を使っている世帯ごとの停電復旧率は地域別でわずか6~8%と、ほとんど進捗していない実態が明らかにされた。
今回の被災によって広域停電が起きているのはレイテ、南レイテ、サマール、東サマール。北サマール、ビリラン、アクラン、イロイロ、カピス、セブ、パラワン北部の11州になるが、完全復旧したとされる南レイテ、北サマール州でもバランガイ単位では約70%、世帯単位では約62%となっている。
他の州はバランガイ単位で21~37%の間に留まり、世帯単位ではイロイロ、カピスのあるパナイ島が23~31%と比較的高率なのに対してレイテ州全体では6~8%の低率。
特にセブ州北部などは4%と、各世帯の復旧が大幅に遅れていることが分かった。
電気会社の発表する復旧率と実際の復旧率の乖離だが、バランガイの1軒にでも電気が通じればこのバランガイは100%復旧と数える数字操作から来ている。
また世帯別でも幹線沿いに建つ世帯だけが復旧しているのが現在の状況で、幹線道路沿いから入った世帯には手が付けられていず、復旧率の実数の低さに表れている。
この復旧の遅れの原因は配電会社の復旧資金が足りなく、一気に復旧工事を進められないためで、政府はこのために総額39億ペソ(約90億円)の資金援助を組み、今月中に復旧計画と資金配分の会議を開くというが、政府と配電会社の対応は泥縄の感は否めない。
このままでは、次の台風が来るまで全面復旧はできず、また被害を受けて半永久的に電気は使えないのではと被災地では笑えぬ冗談が飛び交う。
|