 フィリピンの世論調査は『やらせ』や『誘導』との評価もあり、簡単に信用することは危険だが、傾向は読み取れることは出来る。
注目の大統領選支持率で、2つの調査機関が同時期に行った支持率調査で順位や支持率数字が合わなく、その信憑性や調査方法に疑問は持たれている。
毎回1位になった候補者の名前が話題になるが、A社調査では1位に副大統領のビナイが返り咲いて、1位を守っていたポー上院議員が3位に陥落、2位には前回4位のドテルテダヴァオ市長が入った。
一方、B社の調査では、1位は前回3位に落ちていたビナイが、ポーと同率の1位となり、3位に与党陣営のロハス前内務自治長官が入り、ドテルテは前回1位から4位に陥落した。
このように、調査対象の選挙民の意向が大きく変化しているのが今回の特徴ともなっている。
こういった中、サンチャゴ上院議員だけが5位の位置から進めず、支持率もどの調査でも5%未満となっている。
当初は1位を独走、その後汚職疑惑などで支持を落としてポーに抜かれたビナイは副大統領の地位を利用した公然たる選挙運動を全国展開中で、対立候補のポーとドテルテの立候補資格を巡るドタバタが既成政治屋のビナイに有利に働いた。
特に最貧困層の支持率は43%になり、他候補に大きく差を付けている。また。貧困層でも支持率は30%あり、これらの層に露骨に物を配る作戦が功を奏していると見られている。
一時、人気が急上昇したドテルテは犯罪者を暗殺するなどの『マッチョ振り』の作戦が、結局嫌われる結果となり、挽回するには難しいのではないかと見られている。
なお、ポーに関しては12月24日、大統領候補資格の要件を満たさないと中央選挙管理委員会から裁定が下され、この不安定要素で支持者が離れる原因ともなっている。
この裁定に関してポーは最高裁判所に提訴する構えでいるが、現在フィリピンはクリスマス休暇中で、ポー側には5日間しか猶予が与えられなかったため、12月28日に最高裁による一時差し止めの仮処分が出ないと失格が確定する。
このため『今回は出馬しない』という選択が成されるのではないかとの見方も流れている。
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