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 先にラオスで開催されたASEAN首脳会議で、会談予定のあったアメリカ大統領に侮辱的な発言をし、会談中止に追い込まれたドゥテルテだが、一応の反省態度は見せていた。
しかしその舌の根も乾かない内に、アメリカのフィリピン植民地時代の蛮行を持ち出したり、軍事協定を結んでいるアメリカ軍に対してミンダナオ島での軍事支援活動を認めない発言も飛び出した。
そういった発言はフィリピン国内の安直な支持層には受けても、国際的には北朝鮮同様カヤの外に追い込むだけと批判されている。
また、強硬な違法薬物容疑者への抹殺を進めているドゥテルテに対して国連を始めとする国際社会から『人権無視』の指摘がありながら『内政干渉』と一蹴して、更に強硬路線を推進すると表明している。
こういった頑迷さは老人特有の固執から来るもので、フィリピンの平均年齢23歳台から比べると、ドゥテルテは現在71歳で老齢である事は確かで、老害の兆候ではないかとの見方もある。
この前言を翻す行為は9月12日、ASEAN首脳会議後に立ち寄ったインドネシアでも発生。
これは2010年4月にインドネシア・ジョクジャカルタ国際空港【写真】で違法薬物2.6キロを持ち込んだ当時25歳のフィリピン女性が逮捕された事件で、本人はマレイシアで知人夫婦から預かった物で中味は知らず騙された主張したがその後2015年に死刑判決を受けた。
この問題は被告が中東へメイドとして出稼ぎした境遇などから国内問題にもなり、アキノ前政権はインドネシア当局に助命を働きかけて、他の外国人死刑囚と共に死刑執行される直前にこのフィリピン人女性は執行を免れる経緯があった。
そのため、ドゥテルテはフィリピンを出発する前に『この女性の助命をインドネシア大統領に要請する』と発表したが、インドネシア大統領と会談後は『内政干渉になるので、インドネシアの法律で処理してくれ』と意見を述べ、ここでも食言が起きた。
これに対してドゥテルテ側政府高官は『ドゥテルテは死刑執行を承認していなくて、最終決定に従う』と述べただけと、食言に対して苦しい弁解をしている。
こういったコロコロ発言が変わるのはドゥテルテの戦術であって、違う意見を出して世論の動向を読んでいるのではないかとの見方もあるが、違法薬物対策に対しては高い支持率を維持していて、発足間もない政権の実績作りのために容疑者が殺されているとの指摘もある。
しかも違法薬物対策の超法規的殺人への批判は、警察や自警団の圧力によって声を挙げられないのが今のフィリピンであり、次はドゥテルテの性格から『戒厳令』布告の恐れもあるのではとの声もある。
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