ツイッター社は5月に行われる大統領選に立候補しているマルコス候補を支持する300以上のアカウントを1月22日、同社のポリシーに違反しているとして停止措置に出た。

ツイッターやフェイスブックなど世界でも有数のSNS利用者が多いフィリピンでは、選挙運動の一環として候補者陣営は盛んに利用し、特に自陣営に有利な偽情報を垂れ流すことが顕著で、その中でもマルコス陣営は目に余っていた。
1986年の『エドサ政変』によって独裁者マルコス以下一族と取り巻きはフィリピンから逃亡したが、今ではマルコス一族とその取り巻きは復権し、30年以上の怨念と次期大統領選当選を狙い、息子のボンボンを擁立している。
政権批判で知られ主催者がノーベル平和賞を受賞したインターネット・メディアのラップラー社によると、10月5日にマルコスが立候補届けを出した以降、急激にマルコス支持のアカウントが増え、同陣営のキャンペーンの一環としてツイッターが利用されたと指摘されている。
また、特に、エドサ政変時のマルコス一族は悲劇の一族として歴史を改竄しする内容をSNSで巧妙に流していて、こういったデマに基づくマルコス陣営の情報操作が今回のアカウント停止に至ったと見られている。
このSNSによる選挙運動では現大統領のドゥテルテがまだ泡沫候補並みであった頃に、失業中の青年を雇ってSNSの情報戦に投入して当選を勝ち取ったということもあって、SNS情報に弱いフィリピンの青年層には効果があることが分かっている。
今回のツイッター社によるアカウント停止について、マルコス陣営は停止されたアカウントがマルコス陣営が仕掛けたという証拠はないと強弁しているが、ツイッター社はAIなどを使った客観的な同社のポリシーに沿った判断であるとマルコス陣営の抗議を退けている。
こういった情報戦の中、民放最大手のGMAが主催した大統領選候補者のインタヴュー番組で、有力候補全員が出演している中、マルコスだけが出演を拒否し、まともな論戦の出来ない候補者という印象を与えた。
【写真は1986年の正副大統領選で父親が選挙キャンペーンに使ったスティッカー】
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