戒厳令を発令中のミンダナオ島全域と近隣島嶼部では先の見えない状況が続いているが、ミンダナオ島西部に浮かぶ島、バシラン州の検問所で爆発事件があり死者11人、負傷者5人を数える惨事が発生した。
事件は7月31日の早朝5時50分頃、バシラン州ラミタン市(人口7万5千人)の路上で検問を行っていた軍と民兵組織が通りかかった白いバンを停めて尋問したところ、運転手の男は同地方の言語を理解しなかった。
そのため不審に思って車内を捜索しようとした直後に車が爆発した。
この爆発によって軍兵士1人、民兵組織5人、子どもを含む民間人4人、及び事件を起こした運転手1人計11人が死亡した。
同検問は同地方で『爆弾が製造、運搬されている』との情報を得て、検問を強化した矢先の出来事で、犯人の運転手は逃れられないと見て自爆したものと見られている。
なお、実行犯は言葉を解しなかったため、外国人である可能性が高く、そのためミンダナオ島地域で誘拐や爆発事件を起こしている『アブサヤフ』グループの犯行ではないかと見られているが断定は出来ていない。
また、今回の爆発事件は検問所で起きたが、犯人側の意図は同日に市内で開催されるパレードを標的にし、大量殺傷を狙ったのではないかと見られているがその意図は不明。
事件の起きる直前の26日に、バシラン州を含むイスラム教徒居住地域に高度な自治機能を持たせる『バンサモロ基本法』が成立していて、ドゥテルテ大統領は翌29日に、アブサヤフに対して和平交渉に応じるよう呼びかけていたが、武闘派からの答えは31日の爆発事件となった。
この爆発事件を受けて、首都圏では警官3万人を動員して検問が強化されることになったが、首都圏に限らずフィリピン国内ではこのような事件に遭遇する可能性は高く、また、外国人誘拐を資金源としている犯罪グループも多く、各国公館は自国民に警戒情報を流している。
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