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5月13日の投票日に3ヶ月を残す2月12日(火曜日)、上院議員【写真は上院議場の入り口】と政党別下院議員の選挙運動が始まった。
この日は選挙管理委員会が認めた選挙運動解禁日であるが、選挙戦は既に始まっていて、事情通は事前運動が野放しのフィリピンでは選挙戦は終盤に入っていると断言する向きもある。
今回解禁された上院選は全国選挙のため、南北に長い国内を遊説で走り回る必要があるために長い選挙期間を設けているが、中央選管が上院議員立候補者として認めたのは62人で、当選枠は12人。
また、下院議員政党別というのは、地域や職能団体が政党を作って活動するもので、下院総議席数297の中で21議席が割り当てられ得票に応じて議席が配分され、今回の登録政党は134となり上院選と同じ全国選挙。
残る下院議席の276は小選挙区として各地域で選出されていて、その選挙解禁日は3月29日(金曜日)からで、この日は知事など自治体正副首長の選挙戦が同時に解禁される。
フィリピンの選挙は一応、選挙に費やす額の制限は設けられているが、その実態はアメリカ同様ザル状態で、TVコマーシャルなどは候補者個人ではなく支援団体が行えば良いとなっていて、資金力のある人物、有力最閥の庇護下にある者が断然有利となる金権選挙となっている。
また、政府や官界の要職に就いていた者はその組織を利用して立候補する者が多く、今回でも上院選には元警察庁長官や大統領補佐官であった人物がドゥテルテ大統領の庇護の下で立候補している。
また、知名度がものを言うために、前回選挙では国民的英雄とされるボクサーが上院選で当選し、他の当選議員も妻が大物女優というのが2人当選し、この他にも妻が芸能界出身という議員は多く、フィリピンの政界と芸能界のその知的レベルは同じと揶揄されている。
上院議員の任期は6年で、定員24人の半数が3年ごとに改選される仕組みであり、前回2016年に選出された非改選議員は12人と変わらず、再選を目指す議員は7人で、何れも再選は固いとされるものの、事前運動が伸び悩み何人かは弱いと指摘されている。
こういった落ちこぼれと新たに空いた枠を巡って元議員や新人がしのぎを削っている状態で選挙解禁日を迎えたが、上院議員の選出方法では投票者が12人の枠一杯まで投票できるため、上位はともかく下位候補者はついでに選んでくれたらの願望が強く、1人1票という基本的な選挙ルールがご都合で運用されている。
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