5月9日(月曜日)投票の2022年度選挙で、注目の正副大統領選は事前の世論調査通りにマルコス-ドゥテルテ組が当選し、1986年以来の正副大統領が同組で選ばれることとなった。

最終確定票はまだ先だが大統領に当選したマルコス元上院議員は得票率約59%、3163万票を得、対抗馬のロブレド副大統領は得票率約28%、1504万票を得て次点に終わった。
副大統領にはダバオ市長のサラ・ドゥテルテが得票率約62%、3222万票を得、ロブレドと組んだパギリナン上院議員が得票率約18%、933万票で次点となった。
マルコス-ドゥテルテ組の勝利は、ルソン島と首都圏に強いマルコス、ミンダナオ島などフィリピン南部に強いサラが手を組んだことによって相乗効果が生まれためで、候補者の資質よりも選挙戦術が実を結んだ。
当選したマルコスだが、立候補資格を巡って最高裁に提訴されていて、これはかつて脱税で有罪判決を受けていて、資格はないとの訴えだが、マルコス陣営は相手にしていない。
また、マルコス家の巨額な相続税が支払われていないことも選挙期間中に暴露されていて、こういった爆弾を抱えているためにマルコスは6年間の任期を全う出来ないとの見方も出ている。
こういったマルコスの不安定要素を全て呑み込んで長女のサラを副大統領候補に出したのが策士で知られるドゥテルテ現大統領で、マルコスが任期途中で退任してサラに大統領職が転がり込むようにマルコス家と密約があるなどの憶測が出ている。
その上で次回大統領選にサラが出馬して当選するという絵図を描いていて、仮にそれが現実のものになるとドゥテルテ家によるフィリピン支配が18年続くことになり、これはマルコス独裁21年に続く長期支配となるが、そこまで透徹して投票する選挙民は少ない。
これには続きがあって、今回当選したマルコスの息子が地盤であるイロコス州の下院議員に当選していて12年後の2034年大統領選にはこの息子を出して、ドゥテルテ家-マルコス家による支配を目論んでいるとの話も浮上していて、フィリピンの政治は何でも有りだからこれが荒唐無稽とは誰も言い切れない。
【写真は当選した左マルコス、右ドゥテルテの新旧政治王朝の誕生】
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