選挙は国を問わず、選挙管理員会が定めた選挙運動期間ではなく事前運動が重要で選挙運動が解禁された時は終盤といわれているが、フィリピンではこの2月8日から選挙運動が解禁された。

投票日は5月9日(月曜日)で、直前の5月7日まで3ヶ月間選挙運動が繰り広げられる。
今回解禁されたのは正副大統領、上院議員、下院の政党リスト、それぞれの候補者で、下院の地方区、州、市、町の自治体首長、各自治体の議員は第2陣として3月25日が選挙運動解禁となっている。
フィリピンの場合、投票をするには有権者登録をする必要があり、2022年選挙の国内有権者登録数は6570万人、海外在住者180万人となっている。
部門別の候補者数は大統領候補者10人、副大統領候補者9人、12人が改選枠の上院議員候補者は64人、下院政党リスト制の枠は21人で候補者177人とそれぞれ数の上では激戦。
なお、下院リスト制は全国の有効投票数の2%以上を獲得した登録された党派に1議席割り振られ、1党派最大3議席までとなっている。
また、地方自治体首長や自治体議員の枠は全国で1万8000以上あり、こちらも熾烈な争奪戦が繰り広げられる。
始まった選挙運動だが、フィリピンにも一応法定選挙費用というのがあるが、ほとんど機能していないのが実態で、事前運動に費やされる巨額な金など歯止めは全くなく、資金を湯水のように使った候補者が当選する。
有権者の方も、一票いくらで売る行為など当たり前で、選挙前には選管から買票に応じないように注意が出るほどである。
そういった警告があっても投票日直前には誰がいくらもらったというのが話題になり、候補者側も選挙カーから群衆に対してコメなどの食糧やTシャツを配るのが当たり前という金権選挙がまかり通っている。
莫大な資金が必要なため候補者はスポンサーを見つけるが、当選の暁にはスポンサーに対して便宜を図るのが普通で、こういった構造がフィリピンから汚職がなくならない要因の一つといわれている。
2016年に大統領選に当選したドゥテルテも地元ダヴァオ市の中国系実業家をスポンサーに付けて選挙戦を勝ち抜いたが、その後フィリピンに2社しかない携帯電話会社を1社増やす時、この実業家の経営する会社に認可を与えた。
こういった露骨な行為が問題にならないのがフィリピンという国である。
【写真は投票風景で電子化が進んでいても投票用紙の長さには呆れる】
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