 任期1年を切ったアキノ大統領の掛け声『汚職なければ貧困なし』についての実態が、民間調査機関によって公表された。
この調査は2014年11月から2015年5月にかけてフィリピンの民間企業966社を対象に行われ、各社所在地は首都圏の356社を筆頭に、ルソン島、セブ島、パナイ島、ミンダナオ島の大きな都市部を中心にして各地域100社程度を対象とした。
それによると『汚職は政府業務の一部』と回答したのが38%に上った。
この数字はアロヨ政権時代と比較すると、アロヨが政権に就いた2000年から2006年は40%前半を推移し、同政権後半の2008年には最悪の58%を記録した。
2010年のアキノ政権になって40%台に戻り、汚職の元凶としてアロヨは退任後逮捕され、現在も拘留されている状態となっている。
今回調査の38%という数字は2000年以来、初めて40%を切り、アキノ政権の掛け声が一定程度の効果を上げていると見られている。
また、『過去3ヶ月以内に身の回りで起きた汚職を知っている』の設問では、最悪だった2007年の44%から、今回は32%にとどまり汚職体質の改善が進んでいることを伺わせた。
この設問で割合の高かった地域はアンへレス市の39%、マニラ首都圏の36%で、日系企業が多数進出している首都圏南部のカビテ、ラグナ、バタンガス州などは20%と最低の数字となっている。
汚職取り締まりに関連する法律については51%が『現行法では不十分』と回答し、国会審議が遅れている汚職防止法案の早期可決や法整備を求めている。
調査の中で、『汚職が少ない』政府機関としてアキノのお膝元の大統領府、貿易産業省、証券取引委員会(SEC)、社会保険機構(SSS)、証券取引所などが高評価を得ている。
反対に評価の低い政府機関は『汚職3大政府機関』として悪評のある関税局が最低評価となり、以下公共事業道路省、農業省と続き、やはり関税局と並ぶ『汚職3大政府機関』の一角の国家警察、下院、陸運局など絶大な許認可権を持つ省庁が挙げられている。

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