どこの国でも最初は華々しく登場しても、政権末期に近づくと『レーム・ダック』といって、不安定な状態に陥り易い。
アメリカのオバマ大統領も既に期待した効果がないと『レーム・ダック』状態の政権運営となっていて、フィリピンでも同じように絶大な期待を受けて登場した、アキノ大統領政権運営が混迷を極めている。
民間の調査機関がアキノ大統領の信任率について、3月上旬に成人1200人を対象に調査し、このほどその結果が発表された。
これによると2014年11月に行われた前回調査では56%の信任率を得ていたのに、今回は20ポイントも下落し、就任以来最悪の36%という数字になった。
対して不信任率は前回より14ポイント増の27%となり、分からないと答えた人も前回31%から37%となった。
今回の最悪の信任率は1月25日にミンダナオ島であった、警察特殊部隊隊員が和平交渉の進むMILF(モロ・イスラム解放戦線)と交戦し、44人もの隊員が戦死した事件に対するアキノ政権の不手際への評価と見て良い。
地域別にみると、信任率で高かったのは従来からアキノ政権寄りのヴィサヤ(セブを含む)地方が40%、ミンダナオ島が45%とポイントは落としたものの、40%台にとどまった。
一方、最低は首都圏の24%で、前回から一気に半減以上の数字が出た。首都圏に関しては、地方から流入する都市貧困層が不満と共にこういった数字を慢性的にはじき出すが、これは他の政権でも同じ傾向が出ている。
次に社会階層別だが、従来からアキノ政権の支持層だった中間層以上の信任率は34%。貧困層、最貧困層が42%と何れも悪化。
不信任率については、中間層以上が前回14%から35%へと激増した。貧困層は前回12%から28%、最貧困層も16%から22%へと高まり、各階層でアキノ離れが顕著に見られる。
アキノ大統領は就任以来70%前後の支持率を維持し、アロヨ前大統領や野党側現職上院議員を汚職容疑で逮捕。
また最高裁判所長官を弾劾ですげ替えるなど、大胆に改革を進めていたが、昨年の1月には未曾有の台風被害支援の遅延、また、予算編成での違憲判決が出て、2014年7月には支持率50%台に低下、ここに来て政権内の疲労が目立ち支持率急落につながった。
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