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 ダヴァオ市長に20年以上君臨し、現在もダヴァオ市長に長女、副市長に長男を座らせ市政を思うままにしていたドゥテルテ大統領の市長時代に指示していた処刑団の実態が、15日の上院『法務人権』委員会で明らかにされた。
ダヴァオ市では犯罪容疑者に対して処刑する組織の存在がかねてから指摘されていたが、上院委員会でこの処刑団に属していた57歳の男性が証言し、ドゥテルテが直接指示、関与していた様子が浮かび上がり、現職大統領が殺人行為に手を染めていた事に対して、ロブレド副大統領が解明を求める声明を出すなど、今後政治問題化する可能性が出て来た。
証言によると、処刑団は反政府軍事組織のNPA元隊員、国家警察の警官、金目当ての民間人など約300人で構成され、処刑した人数は1000人以上に上り、証言者本人も約50人を殺害した証言した。
殺害方法は銃と刃物により、殺害遺体はバラバラにして採石場などの人目の付かない場所に埋めて、鰐に食べさせた事もあると、マフィア顔負けの行為も証言された。
この処刑団構成員に対してダヴァオ市は幽霊職員として雇用し、証言者本人には24年間に渡って毎月5000ペソの給料が払われていた実態も証言され、市長の承認がなければこういった長年の手当は出来ないと、ドゥテルテの関与を指摘した。
証言では処刑対象者をゴルフ場に連れて行った所、ゴルフをしていたドゥテルテがゴルフ・クラブで処刑者の頭を殴打したなどもあり、ダヴァオの治安を回復したとの一枚看板で5月の大統領選で当選したドゥテルテの恐怖政治体質に疑問符が付けられている。
また、証言では5月の副市長選で当選した長男自身が殺害命令を出していて、麻薬常用者であるとの爆弾証言も出、元ダヴァオ警察の責任者でドゥテルテに引き上げられ、現在は国家警察長官を務める人物も超法規殺人を率先して行っていたと明らかにされた。
処刑団は犯罪容疑者抹殺以外にも、1993年にダヴァオ大聖堂爆破事件があった時、ドゥテルテは報復としてイスラム教徒の殺害を指示、あるいは政敵のボディーガードを殺害するなど、数々の事件を起こしていることも証言された。
こういった驚くべき証言に対して大統領側は全面否定を展開しているが、今回の上院委員会のトップに座り、超法規的殺人解明に取り組むデ・リマ上院『法務人権』委員会委員長【写真】は徹底的に調査すると言明。
デ・リマ上院議員はアキノ政権下で司法長官を務め、5月の上院選挙で初当選。反ドゥテルテの急先鋒だが、ドゥテルテはデ・リマのスキャンダルを持ち出して潰しにかかっている。
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