
フィリピンの軍隊と警察の腐敗は昔から指摘され、違法薬物容疑者抹殺よりも軍、警察の人間を始末する方が先という意見もある中、9月24日、マニラ首都圏サンファン市の民家で国軍の銃器類が押収された。
捜索をしたCIDG(国家警察犯罪捜査隊)によると、押収されたのは弾薬数千発を含むM203グレネードランチャーやM16、M14ライフルなど国軍の正規装備品で、総額600万(約1400万円)ペソに上った。
捜索された民家は8月から民間人の情報を受けて、CIDGが内偵を続けていたが、民家の所在地は1986年、エドサ政変時に反マルコス派が反旗を翻した国家警察本部のあるクラーメ基地から100メートルしかない場所で、灯台下暗しとなっていた。
捜索に先立つ20日には銃器横流しをしていた容疑者4人を逮捕したが、その中の1人は今年行われた全国選挙でミンダナオ島スールー州の副知事選に立候補し落選していた地元の有力者であった。
スールー州はイスラムの名を騙る犯罪集団アブサヤフが跋扈する地域で、これら逮捕された一味が国軍から横流しされた銃器類をアブサヤフやミンダナオ島イスラム教徒自治区(ARMM)の政治屋の私兵団などに横流しした事実も判明。
国軍の責任者も押収された銃器類が国軍の装備品である事を認め、横流しに関与した国軍関係者数人の取り調べを行っている。
一味の横流し方法は、首都圏から車に横流し銃器を積んで、フェリーに乗ってミンダナオ島西部のサンボアンガ市経由で運んでいて、本来乗船前にチェックされるはずの車が通りぬけていた事もあって、港湾関係者の関与も指摘されている。
今回の摘発は従来からささやかれていた国軍装備品の横流しの一端であり、ドゥテルテ私兵団ではないか批判される言える国家警察幹部のパフォーマンスではないかとの指摘もある。
【写真はクラーメ基地内国家警察本部ビル】
|