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 ドゥテルテ大統領が強硬に推し進める『違法薬物容疑者』に対する超法規的殺害は6月の政権発足後の半年間で4000人を超えたとの数字が挙げられ、フィリピンは戦争状態、あるいは内戦の起きている国を除いて、短期間で世界でも最悪の殺人件数の多い国となった。
この大量の殺害に対して、元ダヴァオ市の警察署長から異例の抜擢を受け国家警察最高幹部になり、ドゥテルテの『番犬』と称されるデラ・ロサ長官は『政権発足後に殺害された容疑者達の半数は警官による殺害ではなく、違法薬物に関係ない便乗殺人だ』と警官を擁護しつつフィリピンが殺人天国であると明らかにした。
こういった狂騒状態の中、上院では聴聞会を開いて超法規殺人を調査していたが、このほど報告書を発表しドゥテルテ政権が進める違法薬物政策において、政権側が殺害に関与した事例はないと断定。
また、ドゥテルテがダヴァオ市長時代に組織し市内の犯罪者殺害を行っていた『ダヴァオ市処刑団』とドゥテルテとの関係を裏付ける証拠はないと、同じく断定しドゥテルテが潔白であるとお墨付きを与えた。
しかしながら、ダヴァオ処刑団に関して元処刑団の団員という人物がドゥテルテの指示、関与を証言しているが全く無視、同元団員は口封じのため抹殺される恐れも出ている。
この口封じに関してはレイテ島中部アルブエラ町【図】の現職町長が違法薬物取引で逮捕され、拘置所へ収監中に警官隊によって射殺される事件があり、警察は町長が銃撃、応戦したためと理由を挙げているが、国家捜査局〈NBI〉のその後の調べで、殺害は警察の計画的犯行で、口封じのために行われたと警察側と違う結果を発表。
この事件では、ドゥテルテは謀殺をした警官側の行為を賛辞し疑惑の指揮者を擁護するも本来政権の足となって動く実働組織で奇妙なねじれが生じている。
今回の報告書を出した現在の上院はドゥテルテの提灯持ちが多数派で、大統領に異議を唱える議員は少数派で、デ・リマ及びトリリャネス両議員がこの報告書に対して批判を加えている。
ドゥテルテの政治手法は『独裁者』として共通の敵対する者は排除、弾圧を加えデ・リマ議員などは私生活の暴露と共に受刑中の麻薬組織の幹部を証人に仕立てて、選挙資金を麻薬組織から受け取っていると証拠のない証言をさせ、同議員を苦境に陥れている。
また、先には野党になった自由党のロブレド副大統領に対して閣議出席を拒否し、閣僚ポストの辞表を出させるように追いこみロブレドを内閣から排除することなど平然と行い、次はロブレドの副大統領辞任をターゲットにしていると囁かれている。
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