フィリピン政府の代表的汚職機関、部門は『軍』、『国税』、『関税』、それに『警察』などと芳しからぬ評価がある。
それを裏付ける事件摘発は浜の真砂のようにあり、これに加えて『政治屋』連中の汚職も蔓延し、一向にアキノ現政権が声高に叫ぶ『汚職撲滅』は進まないのがこの国の現状である。
公務員の汚職を摘発する『行政監察院』は12月4日、銃器登録を巡る事件で、警察組織の最高責任者である、プリシマ国家警察長官【写真】以下10人の高級幹部に対して6ヶ月間の停職命令を出した。
行政監察院による停職命令は『警察の身内による証拠隠滅と捜査妨害を防ぐ』ためとしているが、既に目ぼしい証拠は消えているとの指摘もある。
なお、これら10人に対して停職期間中の給与停止措置が採られているが、汚職で懐を肥やした連中には安い給与支給の停止など痛くも痒くもないのが現実で、この給与の安さが公務員による汚職がなくならない動機ともなっている。
停職の理由となった事件は、国家警察が取り扱う銃器登録証明書発行に際して、特定の業者に便宜を計り、発送手数料の一部を還流させ私していた疑いで、この10人の他に既に退官した高級幹部2人も関係していたと行政監察院は捜査を進めている。
銃器登録証明書発行は、宅配業者を通じて申請者に送られるシステムになっていて、今回長官を含む警察高級幹部から便宜を受けていた業者は法人登記の不明朗さや、業者登録、納税なども行っていない事実も発覚し、警察高級幹部と業者の癒着が次々と明らかになっている。
また、この疑惑の業者の設定宅配手数料が他の業者と比べて2倍以上にもなっていて、この面での捜査も進められている。
プリシマ国家警察長官を巡る汚職疑惑はこれ以外にも、長官官舎の改築に当って、民間の人間から莫大な寄付を受けて行ったことや、出身地であるルソン島ヌエバエシハ州にある自宅を巡っての不正蓄財などが指摘されている。
このように、犯罪を取り締まる組織の最高幹部がこういった疑惑に包まれることが、この国の『病弊』を物語っている。

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