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フィリピン外務省は10月25日から27日までドゥテルテ大統領の日本訪問を明らかにし、また、その前の9月28、29日の両日、ヴェトナムを訪問し、南シナ海問題を取り上げる予定としている。

【写真は左からエストラダ、アロヨ、ドゥテルテ、ラモス、アキノの元、前、現フィリピン大統領】
なお、中国へは訪日直前の10月19日と20日とし、中国寄りの発言の目立つドゥテルテの姿勢が鮮明になった。
今回の訪日はラオスのヴィエンチャンで開催されたASEAN首脳会議の日程中に日本の安倍首相との会談が行われ、日本側からドゥテルテへ招請があり、それに応じた形となった。
フィリピン大統領の訪日は5年ぶりだが、訪日での具体的な行程、内容はまだ固まっていない。
日本側としては中国の南シナ海における覇権、軍拡路線に対して歯止めをかけたい思惑で招請したものの、それに先立って中国を訪問するドゥテルテの姿勢は日本側の期待を肩すかしするもので、早くも日本側には失望感が生まれている。
また、日本はフィリピンにとって最重要な貿易相手国であり、貿易産業省長官が大統領訪日後に、日本の経済関係者を訪問する予定が入っていて、政治問題抜きに関係を深めようとしているのが現政権の対日政策となっている。
一方、フィリピンの対中国政策はアキノ前政権が進めていた先の国際仲裁裁判所でのフィリピン側の完全勝利で見るように、国際舞台の場で中国の非道をアピールし、国際舞台で解決する路線であったが、ドゥテルテ政権では大幅な転換がなされ、日本やアメリカなどの関係国を抜きにフィリピンと中国の2国間で解決を図る方針に変更された。
これは南シナ海問題で国際的に苦しい中国の立場を助けるもので、中国としては大歓迎のドゥテルテ政権の方針で、ドゥテルテを組し易いと中国側は読んでいる。
このフィリピンの方針転換については、中国がカンボジアやラオスを経済援助や投資で囲い込んで意のままにする戦術が絡んでいて、ドゥテルテは中国の援助を期待するために中国にいい顔を見せていると指摘されている。
一方で、日本やアメリカの援助や投資を期待する発言もあり、日本、アメリカ、中国を天秤にかけてより多くの援助、投資を引きだすためといううがった意見もある。
先のヴィエンチャンでのドゥテルテの振る舞いは国際儀礼に反する態度があり、顰蹙を買っているが、フィリピン国内ではお山の大将として君臨できても国際的には通じないことを学習して、ただでさえ外交音痴と見なされるドゥテルの見識が、10月の日本と中国の訪問によって新たに試される。
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