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正副大統領選の立候補受付けまで半月少々になった現在、民間調査機関による大統領候補者支持率調査が次々と発表されているが、ここにきて有力3候補の支持率の傾向が明らかになっている。
9月8日から14日にかけて有権者2400人を対象にした世論調査によると、アキノ大統領から後継指名を受けたロハス前内務自治長官が初めてビナイ副大統領を抜いて2位に浮かび上がった。
1位は依然ポー上院議員だが、一時期の熱狂的な支持が薄れ今回の調査では支持率26%だった。
それに次ぐロハスは20%で追い、ビナイは僅差の19%で3位に沈んだ。
今回の調査で顕著になったのはビナイで、2014年6月の同調査では41%を集め、ポー12%、ロハス8%と他候補を寄せ付けない支持率を誇っていたが、数ヶ月おきに行われた調査では毎回支持率を落とし、今回はかつての半分にも満たない急落ぶりだった。
一方、ロハスは当初より2.5倍も支持率を伸ばし、3位~4位の下位から完全に出た数字を獲得し、苦戦状態を脱しつつある。
ロハスの急伸は、アキノ大統領による後継指名発表直後の調査のためと見られているが、ビナイの汚職疑惑に対するインチキぶりが有権者に浸透したため、ポーとロハスに支持層が流れた結果で、まだ流動的と言える。
なお、今回の調査でミンダナオ島ダヴァオ市長のドゥテルテが相変わらず支持を集めていてロハスに小差で接近する16%を獲得している。
ドゥテルテ本人は既に70歳を超えていて本人は今期限りで市長を娘に譲って引退、大統領選には立候補しないとは言っているが、それは作戦上であって、効果的なタイミングを狙って立候補する可能性は高く、セブのダナオ市がドゥテルテの出自であり、ヴィサヤ、ミンダナオ島地域でも票を集める可能性が高い。
ドゥテルテは長年ダヴァオ市長に君臨し、犯罪者暗殺の暗殺グループを陰で操っていたような強面だが、調査で表れたように人気は高く選挙資金の目途が付けば有力な候補者である事は間違いない。
2位になったロハスは戦後最初の大統領となったロハスの孫で、父親は元上院議員、アラネタ財閥の娘と結婚して生を受け、現在58歳。
その毛並みの良さは圧倒的で、実業の世界から下院議員2期、その後貿易産業省長官を務め、2004年の上院選に立候補して1900万票を集めてトップ当選。上院1期後に運輸通信省長官に就任し、2010年の正副大統領選にアキノとペアを組んで副大統領選に立候補。
前年の2009年、長年の愛人関係だった著名テレビ司会者のコリナ・サンチェス【写真】と正式に結婚して票の上積みを計ったが、エストラダ元大統領とペアを組んだビナイに僅差で惜敗。
アキノ政権発足後に地方自治、警察組織を傘下にする内務自治長官に就任し、2016年大統領選に立候補するために内務自治長官を辞職している。
1位のポーは副大統領候補としてトップの支持率を保つエスクデロ上院議員とペアを組んで選挙に臨むが、ロハス陣営はロブレド下院議員に副大統領候補として要請しているが、今回の調査では3%の10位に留まり、不調は続いている。
また、ビナイも副大統領候補を誰にするか迷っている状態で、話題を喚起するためにマルコス上院議員(独裁者マルコスの息子)、あるいはドゥテルテと組むなど奇策を練っているのではと見られている。
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