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 新大統領ドゥテルテが就任してフィリピンの話題はそちらに向かっているが、本来退任したアキノ政権の政策評価をして次期政権は生かすべきであるが、ほとんど行われていずこれは新しいもの好きの国民性が成せるもので業と言って良い。
その中で、アキノ政権がスローガンにしていた『汚職なければ貧困なし』について関連する『貧困率』について、客観的な数字がフィリピン統計庁より発表された。
調査は3年ごとに行われアキノ政権では最後の結果となるが、これによると貧困率は前回2012年より1.6ポイント減の26.3%となった。
アキノ政権が発足する前年の2009年の調査では貧困率28.6%となっていて、若干の改善はあったが、スローガンの成果は掛け声ほどでなかったのが数字で表れた。
フィリピンの貧困ラインは衣食住に最低限必要な生活費を基準に行われており、2015年の全国平均は5人家族で月額9140ペソ(約2万2千円)となっていて、2012年の月額7821ペソを17%上回った。
さらに2009年では7040ペソとなり、13年前の2002年は4960ペソで、2015年と比較すると50%以上も基準生活費が上がっていて、実際の収入が追い付かない一端が垣間見え、貧困率の大幅な削減が難しいことを表している。
また、貧困以下の『極貧ライン』では前回より4.2ポイント減の9.2%となり、貧困調査以来初めての一桁台を達成するも、好況と言われる経済の中で、日々の食事に事欠く層が10人に1人は存在し、貧困削減が容易でなかったことを明らかにしている。
貧困率の地域別ではドゥテルテ新大統領を生んだミンダナオ地方が貧困率41.3%を記録し、次にセブを含むヴィサヤ地方が34.2%、首都圏以外のルソン地方が23.5%と続いた。
首都圏は一番貧困率が低い6.5%と結果が出て、地方との格差が大きくなっていることを示した。
2012年調査では住民の半分以上が貧困ラインを超えた州は13州あったが、今回調査では7州となり多少の底上げはあった。
州別ではヴィサヤ地方ではボホール島とネグロス島に挟まれたシキホール島と先年の巨大台風被害を受けた北サマール州の2州となった。
残る5州はいずれもミンダナオ地方になり、特に政府軍とイスラム武闘派で繰り広げると紛争地帯であるのマギンダナオ州、スルー州、南ラナオ州を中心にブキドノン州、ミンダナオ島南端のサランガニ州となった。
特に南ラナオ州では貧困ラインが70.2%、スルー州では61.8%となり極貧州の汚名を受けた。
こうして数字上では、アキノ政権の『汚職なければ貧困なし』政策はほとんど掛け声だけ、成果を残せないまま、次期政権にバトンを渡した。
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