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『一年後の生活が改善するか』という調査が、ドゥテルテ新大統領が5月の大統領選で当選し、就任直前の6月24日~24日にかけて実施された。
実施機関は民間の大手調査会社の一つになる『SWS』で、国内の成人1200人を対象に行われた。
この調査によると、大統領選が行われた前回4月の調査から『改善する』と回答したのは、6ポイント増の49%となり、同種調査が始まった1984年以来の最高数字を記録した。
これは新大統領に対する国民の支持と期待感が反映している結果と調査会社では分析している。
しかしながら、こういった数字に表れる高さは、発足後の目新しさがある時に共通して表れる『100日間』現象であり、新政権が無為無策で行くならばたちどころに期待感は喪失、支持も急激に落ちると識者は指摘している。
実際、新政権は『麻薬犯罪者』撲滅を政策の売りものにして当面の喝采を得ているが、政治、経済で山積する難問題に対して、政権を支える閣僚など旧来の手垢のついた人物の寄せ集めの感が強く、一本筋の通った政策を実行できないのが現状となっている。
例えば、ドゥテルテは共産勢力との和平を進めるために、政府側が一方的に停戦を行い、共産側にも停戦を行うように期限を切って通告したが、こういった重大事案を拙速によって実行されず、新政権は実りのない『パフォーマンス』で受けを狙っていると批判されている。
今回の調査内容だが、改善をするから改善しない(3%)を引いた『楽観指数』は前回調査より6ポイント増の46%となり、こちらも過去最高の数字となった。
地域別では、最も高かったのは首都圏の58%で、ドゥテルテの出身地盤であるミンナオ地方は前回より15ポイントの大幅増の54%となり、強い期待感は裏付けされたが、実際に生活がどのように改善するかの具体性はない。
また、セブを含むヴィサヤ地方は42%、首都圏を除くルソン地方は41%と首都圏を離れるに従って期待感が低くなる傾向を見せた。
社会階層別では、中間層以上が10ポイントも下落する37%となり、反面、貧困層は8ポイント増の49%、最貧困層は4ポイント増の39%と、どちらも増加していて社会階層の中でも対照的な評価となっている。
なお、国内経済に対する楽観指数は前回より28ポイントも増えた56%となり過去最高を記録。高成長を続けるフィリピン経済のパイの分け前を望む期待感が国民の間に強い事を物語っている。
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