 違法薬物関与者の公表、抹殺と新政権発足で点を挙げたいドゥテルテ大統領は、この人権無視に対して国連などから批判されて、怒り心頭、国連を脱退して中国と新しい国際組織を作ると、当の中国が困惑するような発言をして、外交に対しての無知ぶりが国際的に笑い者になっている。
国内問題でも次々と目新しい考えや施策を発表し、政権の賞味期限を延ばそうとしているが、今度はアキノ前政権が任命した官僚に対して辞表を7日以内に提出するように命令を出した。
政治的アポイントといって、政権を握った陣営は選挙運動の功労者を実績、実務能力に関係なく、論功行賞として政府高官や公営企業の重役などに引き立てるのが広く行われていて、フィリピンの場合は大統領に権力が一極集中している弊害もあってそれが著しい。
平々凡々であり、それが逆に今後高い評価を得るのではないかといわれるアキノ前大統領も就任直後の2010年、前政権のアロヨが任命した官僚を一斉解雇する大統領を出しているので、今政権だけの話ではない。
今回の対象者は約6000人で、特に汚職が酷いと言われる入国管理局、国家捜査局、国税局、関税局、陸運局など許認可に絡んで金の動く各省の下部機関などに対象者は多い。
辞表提出を拒んだり、遅れたりした場合行政処分を行うと強硬な姿勢の一方、例外も設けていてドゥテルテ政権が任命した者は除外と、身内で固める姿勢は堅持。
また、公務員関連法で登用されている高級官僚、憲法で身分が保証されている司法関係者と行政監察院関係者も除外し、ドゥテルテの手兵に化しつつある国軍や、国家警察も対象から外されている。
なお、辞表提出後に、審査を行い任務を継続させるか退職に追い込むかはドゥテルテの匙加減一つで、前政権寄りの官僚を一掃して、自己に都合の良い人物に置き換える方策は『政府機関に対する戒厳令』と見る向きもある。
今回のドゥテルテの大儀名分は汚職官僚の追放となっているが、新たに任命した者が汚職の朱に染まらないとは誰も分からず、大統領を頂点とした汚職の構造を切り崩さない限り、フィリピンの汚職は言うが易しで根治しないと指摘されている。
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