フィリピンの新型コロナ累積感染者数は3月7日現在、59万4412人と60万人目前となり、死者数は1万2516人となった。

今年になってフィリピンの1日当たりの感染者数で1月は1000人を割り込む日もあり、防疫措置の緩和策が論じられていたが、2月になって1000人台から2000人台と増え気味となり、3月に入って3000人を超える日が続くようになり、3月7日には3276人の新規感染者を数えた。
フィリピンの感染第1波は昨年3月から5月の間と、第2波は7月から9月と分析されていて、この3月の感染状況は第3波ではないかと、防疫緩和を主張する楽観論は影を薄めつつある。
特に累積感染者数の3分の1以上を占めるマニラ首都圏の感染が問題で、フィリピン大などが加わる調査グループによると、直近の2月26日から3月4日までの一週間で、首都圏での新規感染者数は1日当たりで約900人を記録している。
これはその前の週の2月19日から25日と比べると50%の増加、二週間前の2月12日から18日では119%増加と明らかに感染が拡大している兆候が出ている。
同グループはその原因として、感染力の強い変異種の存在を指摘し、3月5日までにイギリス型変異種感染者31人、南ア型変異種感染者52人が確認されている。
これに対してフィリピン保健省は変異種と感染再拡大の直接的な関係は確認されていないと否定的だが、帰国したフィリピン人海外就労者(OFW)周辺で変異種が見つかっていて、入国時の検疫体制はザル状態を証明していると批判されている。
フィリピンも中国製ワクチンの接種が始まったが、最初に接種する医療従事者も病院によっては接種をしない人が多数派という例もあって、ワクチンへの信頼率はまだ低い。
長引く防疫措置が馴れと気の緩みが感染拡大を防げていないとの指摘もあるが、それは日本も同じであり、1年以上新型コロナで悩まされるなら、最初の段階で2週間の完全シャットダウンをした方が、経済、社会への影響は少なかったのではとの泣き言の様な声も聞こえる。
なお、フィリピンの場合、累積感染者数は世界30位、東南及び北東アジア地域ではインドネシアに次ぎ、人口100万人当たりの感染者数は5376人で、これは世界で129位、死者も113人、118位と下位に留まっているが、数字の気休めでしかない。
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