アメリカの中央情報局(CIA)など、国内16の情報、諜報機関で構成される連合体『US Intelligence Community=IC』は2月12日、同連合体を統括する国家情報長官が報告書『世界脅威評価』を公表した。
これによるとフィリピンのドゥテルテ大統領は東南アジア地域における安全保障上の要注意、脅威人物として記載された。
その理由は全土に戒厳令布告の提案、そのための憲法の一時停止を目論み、革命政府の樹立を挙げ、実際にミンダナオ島全域への戒厳令1年延長を指摘している。
また、国際的に批判を浴びている違法薬物容疑者の大量殺人などその強硬姿勢は独裁者のようで問題があるとされている。
この批判に対して政府当局は全面的に反論し、同報告書で指摘されたインターネットの偽ニュースで固まるSNSの政治利用を最大限にしていることを認めるものの、報告書を作成したアメリカのトランプ大統領が世界最大のSNSの政治利用者だと切り返した。
この報告書ではフィリピンを含めて世界で30ヶ国以上が政府宣伝のためにSNSを利用していることも記載され、政治家個人では無数であることは言うまでもない。
また、同報告書ではカンボジアのフン・セン首相も挙げられていて、中国に頼りその意のままに政治、経済を行い反対派を弾圧する姿勢を脅威と見做した。
その大国意識が台頭する中国に対しても、アジア地域の脅威として南シナ海や東シナ海で軍事進出を脅威とし、北朝鮮の核、ミサイル開発も同様に脅威としている。
その他、アジア地域ではタイの軍事政権が居座って、民政移管のための選挙が延期されていることや、ミャンマーのロヒンギャ問題も同報告書には脅威とされている。
ドゥテルテは大統領選で中国系財界人から選挙資金を出してもらった関係上と、中国によるフィリピンへの莫大な口約束による巨額なインフラ投資によって、アメリカを目の敵にする発言も多かったが、今回の報告書の指摘から、一層中国寄りの立場を取るのではないかと見られている。
しかしながら、アメリカ在住300万人を超えるフィリピン人からの送金額が国別で1位となっている現状もあり、在米フィリピン人の立場を危うくするような過激なアメリカに対する反論は押さえている模様。
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