国際的な研究機関と大手コンサルティング会社が共同で調査、実施している『不動産の新しい動向、アジア太平洋』の2014年度版で、フィリピンは調査対象となった23都市中、投資見通し総合順位では前年の12位から躍進して4位となった。
これに対してフィリピン中央銀行やアジア開発銀行(ADB)などの『不動産バブルの予兆』という指摘が裏付けられていると分析する専門家もいる。
この調査の総合順位1位は東京、2位上海、3位ジャカルタとなっていて、以下10位までマニラ、シドニー、広州、シンガポール、北京、大阪、深圳と続き、中国の不動産市場のバブル状況が反映された結果ともなっている。
見通しの個別では、マニラは居住物件と商用用施設は1位、オフィス物件でも2位に入った。
この高順位について報告書は①事務・管理事業(BPO=コールセンターなど)の人気。
②政府の汚職撲滅対策の効果と改善。
③人口構成が若いことと過剰な人口。
④海外からのコンスタントな巨額な送金とその伸び。
⑤オフィス物件の安定した賃貸料などが順位を押し上げたと分析している。
この調査が始まったのはアロヨ政権下の2007年で、その年の総合順位は18位だった。
以降20位までの間に低迷していたが、アキノ政権になって2013年に中位の12位になり、今年度版で躍進した。
この調査の中で、地域的な指摘では従来の経済中心地マカティ市から新興開発地のタギッグ市にシフトする流れが顕著で、その流れは変わらないと見ている。
フィリピン全般に対しては『経済活動全体の器が小さいために、機関投資家の投資対象に成り難いため、その隙間を投資する人に向いている』とし、『現在のマニラはインドが10年前に経験したことと似ていて、これから数年以内に多国籍企業が進出、積年の雇用問題も前進する』と見ている。
しかしながら『マクロ経済は良好でも、富の寡占化が進み爆発する人口問題に対処できない政府の無能さ、相変わらず蔓延る汚職問題など、ひとたび海外で経済危機が起きるとそれに抗せない脆弱な経済基盤』と、好結果に対してその裏に潜むリスクの指摘もなされている。
不動産では好調さを述べられながら、株価は年明けから低迷状態で、1月10日現在の終値は前日より94.63ポイント下げの5842.88となり6000ポイントを割り込む状態が続いている。
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