2013年第4四半期にフィリピンを襲った『ボホール・セブ地震』、『台風ヨランダ』などの相次ぐ自然災害にも関わらず、フィリピンのGDP(国内総生産)第4四半期は中国に続く7.7%の成長率を示し、この結果を受けて2013年度通年の成長率は7.2%になったと、フィリピン統計調査委員会(NSCB)は1月30日、速報値を発表した。
この結果、2012年第1四半期から8期連続で6%を超える数字となり、フィリピンの経済官庁は『今後も成長を加速するインフラ整備投資、国内製造業などの増加する要因は維持されるので、更なる成長が見込まれる』と強気の見通しを示している。
また2013年度の7%台達成はアキノ政権が発足した2010年以来3年ぶりで、この成果に政府筋は強気だが、こういった高成長率が中国と同様に多数占める貧困層、最貧困層に届かず『富の格差』是正が課題となっているが、政府は取り組む様子は掛け声だけに終わっている。
GDP各部門の成長率を見ると、GDPの60%近くを占めるサービス業が7.1%増で、内訳は金融が12.4%増、建設業11.1%、不動産業8.4%と、この3業界による現在の『建設ブーム=バブル経済』の一端が数字で証明された。
国内に蔓延する失業者の受け皿として有効な製造業は10.5%と成長率は高率で伸びているが、外国企業を受け入れる経済特区を管轄する政府機関PEZAはそれまで、増加一方だった投資額がミャンマーやヴェトナムといった新興国内で経済特区を運用する影響もあってここに来てブレーキがかかり、そのマイナス波及が懸念されている。
また労働人口の取り敢えずの受け口となっている農林水産業は相次ぐ自然災害に関わらず、主力のココナツ、バナナ、サトウキビ、コーヒーなどマイナスとなっているがコメやマンゴーといった他の産品の伸びが大きく、全体のマイナス成長は免れ微増の1.1%だった。
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