この問題は経済問題として見る面と、政治問題として見る面があって、元大統領エストラーダが市長を務めるマニラ市のコンテナ車通行規制問題は、現アキノ政権への意趣返し、嫌がらせではないかとの見方も出ている。
マニラ市の規制は土日を除く、午前5時から午後6時の間、総重量4.5トン以上のトラックの同市内通行を禁止するもので、同市が抱えるマニラ2港へのコンテナ・ヤードへのコンテナ搬入に多大な影響を及ぼしている。
まず、搬入されるコンテナが激減し、マニラ港では1日平均1200台のトラックが出入りするが、規制初日の2月24日は1台も出入りできず、他の港でも1日平均2000台以上の所、わずか4台となり、関税収入が半分以上も落ち込む事態となった。
このため、トラック業者やそれを利用する企業から、こういった規制は何にもならないと規制の緩和や撤廃を求められているが、同市長エストラーダは、同市内の交通渋滞解消と、大気汚染減少を理由に拒否。
この問題は慢性的、フィリピンの無為無策な交通政策がもたらしたもので、根本的解決には難しいが、マニラの2港に集中するコンテナを周辺にあるバタンガス港やスービック港に分散することによってある程度緩和されることは分かっている。
しかしマニラ港2港に巣食う既得権業者がスンナリと他の港に都合よく分散する動きは鈍いと見られている。
こういった事態を受けて、日本を含む外国人商工会議者などは、交通渋滞などで損失があることは認めるものの、企業の入出荷に早くも影響が出て、経済全体にも多大な損失を与えると警告、企業擁護の発言を繰り返している。
そういった企業の多くはマニラ首都圏郊外で工場を稼働している所が多く、該当する企業が率先してマニラにコンテナを通過させない対応を取って、解決の一歩を計るべきではとの批判も強い。
なお、直接影響を受けるトラック運転手や、運行業者は規制に反対してストライキを敢行中、これに対して政府関係機関がマニラ市との仲裁役に乗り出しているが見通しは不明である。

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