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地獄的なセブ地域の交通渋滞を解決できない現状を尻目に、セブ市内から国際空港のあるマクタン島に片側2車線の3番目の橋を架けるプロジェクトが始まった。

事業は香港の投資会社を親会社とするMetro Pacific Tollways Development Corp. (MPTDC)が行い、総工費は279億ペソ(邦貨約780億円)、全長8.25kmで年内着工の見込み。
MPTDCはマニラ首都圏を中心に、フィリピンの電話、電気、水道、高速道路、病院などの基幹産業に積極的な投資を行っていて、今回の橋の通行は有料となる。
MPTDCの発表した計画図【写真】によるとセブ市からの起点は日本のODAで埋め立てて、実際はシューマート(SM)などを経営するフィリピンの大企業を利するだけの南部埋立地(SRP)沿いに走る道路から始まる(紫色の左端)。
海峡を横断する橋(紫色)、マクタン島南部にあるコルドバ町の浅瀬を走る道路(黄緑色)と別の橋で構成され、ラプラプ市の既存の道路に接続される。
将来的には専用道路をマクタン・セブ国際空港まで伸ばす計画もあるが、住民立ち退き問題もあって簡単ではない。
コルドバ町はこの橋が開通することによって経済発展が見込めると計画推進に積極的だが、コルドバ町にはSMの不動産会社が1500ヘクタールの土地を買い占めていて、SRPに昨年末開業したSMモールと接続が良くなり、第3の橋はSMを利するプロジェクトと、生態学的に貴重な浅瀬を破壊する環境破壊との批判が上がっている。
なお、この橋についてセブ市長は第3の橋は勿論の事、セブーボホール間に橋を架ける構想をぶち上げているが、経済効果の薄い、実現不可能な構想と見られている。
それよりもセブ地域の悪化する交通渋滞をどうするかの対策が求められているが、全く無策状態で専用バスや地下鉄などの構想はあるが、それぞれ政争と利権と化していて実現に至っていない。
今回の第3の橋にしてもセブ島南部からマクタン島へ向かうには短くなって便利になるが、有料道路は既存道路と接続するためにただでさえ酷い渋滞に拍車がかかり、特にラプラプ市内では必至。
セブ側でも従来スムーズだったSRP沿いの道路がモール開業によって大渋滞を引き起こしていて、今回の第3の橋も知恵が足らないのではないかと指摘されている。
こういった批判をよそにセブ市とコルドバ町は1日の通行車両は82000台とそろばんを弾き、売り上げの5%が懐に入ると皮算用している。
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