|
フィリピン政府の発表する公式失業率は10%以下の数字を示しているが、この数字が実態を反映していない作られた数字というのは衆目の見る所で、長年フィリピンで経済活動をしている人は『半分が失業者』と見解を述べている。
そういった中、世論調査の方法を使って定期的に失業率を調べている民間調査機関が2月10日、2013年12月時点の失業率の調査結果を発表した。
この調査は2013年12月11日から16日にかけて18歳以上(フィリピンの成人年齢は18歳)の1550人を対象にフィリピン全土で行われた。
これによると、『求職中』の人は27.5%の割合に達し、前回の調査が行われた2013年9月と比べて5.8%も増加し、2013年の中で最悪の数字を示した。
この数字は実態に割合近いと思われるが『求職を止めた』『働く気がない』といった層を含めるとかなり数字が膨らむのは確かで、フィリピンは『半分が失業者』という説も信憑性を帯びる。
年齢層別では18~24歳の52.3%が目立ち、高校、大学を出ても就職先がない現実を表している。
また働き盛りの35~44歳も数字は高く25.4%と4人に1人は失業状態だった。この他、男女別の割合では女性の失業率が高く、35.9%、男性は21.2%となった。
こういう高失業率を生む要因として、フィリピンでは6ヶ月間雇用を続けると会社は正社員として雇用する義務があって、このためあらゆる分野で6ヶ月間だけで労働者を使い捨てる方法が採られていることもある。
これも爆発するフィリピンの人口が雇用側に利益を与えているわけで『人口爆発』に対する強力な施策が必要だが、政府、議会とも動きは緩慢である。
今回の結果について、政府筋は昨年9月以降に発生した、地震や台風被害などの自然災害が失業者を増やしたと述べ、責任をそういった不可抗力の事件に転嫁し、積極的な対策は取らずいつものように静観。
フィリピンは経済成長率年7%台を維持しているが、この好結果が労働者に分配されている状況となっていず、大資本への寡占化が進んでいる。
それに連れて最近はチャイナ+ワンとして新たな海外進出先としてフィリピンは再脚光を浴びているが、投資総額で比較するとまだまだアセアン諸国内では低く、特に労働者を多く吸収し裾野の広い製造業の進出は鈍い。
年20%台の成長重ね好調と見られるコールセンターを中心としたBPO事業も、大卒者が大半で各層の労働者を吸収するには力が不足。
こうして、溢れた失業者は海外へ職を求めて流れ、国内の基盤は弱って行き、政府は巨額な海外からの送金に目が眩みそれに寄生する社会構造を是認している状態で、こうした慢性的な失業状態は今後も改善されることなく続くものと見られている。
【写真はどこへ行っても長蛇の列、人口爆発は全ての分野に影響を及ぼしている】
|