フィリピン中央銀行によると、2013年度のフィリピン人海外就労者によるフィリピンへの外貨送金額は251億ドルとなり、前年より7.6%増の、同行が統計を取って以来史上最高額を記録し、この額はフィリピンの2013年度国内総生産(GDP)の8.4%を占めた。
フィリピン中央銀行の発表は正規のルートを通じた統計であり、実際はOFW本人が帰国の際に持ち込む額、あるいは一時帰国するOFWに託して持ち込む、地下銀行を通じてなど、隠れた送金があって、一説には正規の額と匹敵、あるいはそれ以上といわれているが、実態は把握されていない。
これは正規で送金すると高い手数料を取られるためで、フィリピン国内で海外からの送金サービスを扱う会社は激増し、現在国内に4740カ所もある。
これだけ増えたのは利用者の利便性というより、この送金サービス業事態に旨味があって、これらの会社が送金額の手数料4%前後を取っているとして、業界全体では10億ドル以上の売り上げとなり、コンピューター一つでする仕事としてはボロイ業種と見られている。
なお、2013年の送金額の流れを見ると、12月は自然災害の影響もあったためか、前年同月より12.5%も増える24億ドルに達し、これも単月としては史上最高額となり、20億ドル以上を超えた月が9カ月連続となった。
また、ひと口にOFWといわれるが、フィリピン政府がOFW向けに設立した公的機関の海外雇用局(POEA)によると、2013年に出国した就労者は180万人であり、公式数字でもここ数年で倍増。
こういった公的機関を通さない就労も盛んで、移民などを含めてフィリピン政府は海外在住フィリピン人が1千万人を超えたことを発表していて、こういった『脱出状況』によるフィリピン国内の良質な人材の枯渇が指摘されている。
なお、2013年度のOFWの主要な送金国はアメリカ、サウジアラビア、イギリス、アラブ首長国連邦、シンガポール、カナダ、日本となっていて、アメリカは移民及び移住者、中東諸国はメイド、建設業が中心、シンガポールもメイド、日本は定住者が送金の主体となっている。
また、就業別では陸上ベースが全体の77.1%を占め、世界の海運業界多数派となって活躍する船員などの海上ベースが22.9%となった。
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