アセアン域内では経済成長率の高いフィリピンだが、2014年第3四半期の国内総生産(GDP)成長率は5.3%と発表された。
この結果、第1四半期から第3四半期までのGDP成長率は5.8%となり、政府が目標とする通年で『6.5%~7.5%』の数値達成に黄色信号が点った。
第3四半期の5.8%は前年同期を1.7ポイント下回り、前期の6.4%からも下がり、景気減退の様子が伺える。
一方、国民総所得(GNI)も前年同期比から4.2%減の4.8%と株式市場や不動産業界の『バプル』状態ながら、実質経済はかなり悪いことがこの数字でも明らかにされた。
これに対して、有力経済官庁の一つである国家経済開発庁(NEDA)の高官は『目標の下限値(6.5%)を超えるためには、第4四半期に8.2%以上の数値を達成しなければならず、大きな課題となっている』と、匙を投げるような発言をし、早くも責任逃れの科白を考えているような態度を取っている。
部門別では台風被害の影響がまだ及ぼしている農林水産部門が前年同期比3.0ポイント減で2.7%。
この数字は過去5年間で最も悪い数字で、作物別ではコメ(マイナス10%)、トウモロコシ(同5.8%)、ココナツ(同5.8%)と主要作物が台風の痛手から回復していないことを如実に示している。
同様に他の部門でもサービスが2.3ポイント減の5.4%、鉱工業が0.1%減の5.4%と振るわなかった。
それでも、前年同期並みの成長率を維持した鉱工業部門では、鉱業(7.8%)、建設(11.9%)などが前年同期を上回り、製造(7.2%)も同様だった。
5%台の数字に留まったサービス部門では全6業種の内、運輸・通信(5.7%)、金融(7.7%)、不動産(6.2%)と比較的高い数字を出してはいるものの、5業種が前年同期を下回る結果となった。
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