
政権が変わってから中国、ロシアへの接近を強めアメリカから距離を置く姿勢から、フィリピンで投資をする外資系ファンドが数週間以上も売り越している中、週明けの9月26日の外国為替相場は対米ドルレートで、ペソは2009年9月以来の1ドル48ペソ台に下落した。
この日の取引額は7億5800万ドルで、最安値は48.26ペソを記録し、対円レートも1万円が4745ペソとなりペソの下落が続いている。
この状況に対して中央銀行総裁は、アメリカのFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が金融政策決定が不確定な事を理由に挙げているが、現政権の国際社会に対する一連の挑発的な発言が影を落としていると見る向きも強い。
それを裏付けるようにペソ安に加えて、PSE(フィリピン証券取引所)の最近の総合株価指数も下落傾向が止まらず、26日の株価指数は前週末と較べて、91.14ポイント下がる7632.46となった。
これに対してPSEは外資ファンドの売り越しが数週間以上続いていることを認めながら、売り越し額は減少傾向にあり、フィリピンの経済基盤は依然堅調で問題はないと見通しを示した。
しかしながら、同国の有力なシンクタンクは『現政権の外交政策は従来の経済パートナー関係を壊し、海外投資家を離れさせる危険を持つ』と危機感を表明した。
こういったフィリピン経済の混迷予測もある中、アメリカの格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、9月21日の最新評価でフィリピンの長期債格付けを「BBB」に据え置いたが、現政権の強硬な違法薬物容疑者殺害などが経済見通しに暗雲を落としていると指摘された。
この他、アメリカ大統領選で民主、共和のどちらの候補者が勝利してもフィリピンにとっては不利な状況が待ち構えているとの見通しもある。
特にフィリピン経済の花形産業となっているコールセンターを中心としたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界の影響は多大で、フィリピン経済を支える海外送金も減ると見られている。
こういった現政権の政治姿勢を嫌って、ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヶ国でアメリカ企業の海外事業地候補として1位人気は40ポイントを得たヴェトナムとなり、以下インドネシア、ミャンマー、タイと続き、フィリピンは27ポイントのマレイシアと同じ5位となり、ジワジワとフィリピンの不人気さが露わになっている。
|