フィリピンの人口の1%程度が中国系といわれ、数にして約100万人になる。
中国系も国籍を取った『華人』と永住権を持つ『華僑』とに分けられるが、この中国系の経済活動力はフィリピンにおいては甚だしく、産業分野によっては独占状態で、フィリピン人はそのおこぼれで経済活動をしていると自嘲するフィリピン人も多い。
また中国系の富豪ぶりはアメリカの有力経済誌『フォーブス』が毎年発表している『世界長者番付100人』にフィリピンからは5人が入り、その内4人は中国系だった。
この4人は長者番付の常連で、毎回トップの座を占めるのは『シューマート=SM』【写真はセブにある店舗の1つ】など小売最大手を率いる『ヘンリー・シー』。
ヘンリー・シーは中国本土福建省からの移民で、靴の小売りから現在に至った立志伝中の人物で、他の大富豪も同様に貧困の身から成り上がり、SMはフィリピン国内に飽き足らず、現在福建省を始め中国本土各地にモールをいくつも進出させている。
こういった艱難辛苦の事実を抜きにフィリピン人からは中国系は『インセクト=虫』と陰では叩かれるが、その絶対的な経済力には従わざるを得ないのがフィリピン経済となっている。
現在、フィリピンと中国とでは南シナ海にある島の領有権を巡って係争中だが、中国政府は『逆らうなら、フィリピンにある中国系の資本を引き払う』などと恫喝を加える始末で、それだけフィリピン経済が中国系に牛耳られている隠しようもない実態があった。
先に開かれた『中国系フィリピン人商工会議所』でアキノ大統領が演説を行い、この中で『適正な納税を』と会員に呼びかけた。
従来から中国系経済人は税金を払わないことに定評があり、例えばフィリピン航空の中国系大株主が傘下に持つ会社の脱税を計ったと、政府と長らく裁判沙汰になったりで、納税に関しては中国系の節税、脱税はフィリピン当局の能力を上まっているのは確か。
大統領の発言は自営業者や専門職の所得税申告が4月半ばにあることを受けての発言で、どちらも脱税の多い業種でとりわけ専門職の弁護士、会計士、医者といった層は特に悪質なのが多いと見られているが、税務当局がこれら業種から適正な税金を取り立てられるかは、不明確で早くも『従来通り係官との交渉で税額が決まる』とささやかれている。
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