 フィリピン南部ミンダナオ島内、最大の市になるダバオ市長が裁判所の執行官にふるった暴力が各方面に波紋を呼んでいる(右手前が市長、胸ぐらを掴まれているのが裁判所の執行官)。
ダバオ市長は昨年5月の統一選挙で当選した34歳の女性サラ・ドゥテルテ。
彼女の親は3期9年ダバオ市長を務め、娘と入れ替わって副市長に収まったフィリピンで非常に多い市政を私物化する政治屋一族。
事件は7月1日、ダバオ市内の不法占拠地域の立ち退きを巡って住民側と立ち退きを執行する側とで投石騒ぎが起き、これはフィリピン中どこでも見られる風景だが、ここにダバオ市長が乗り込み、裁判所命令通りに執行する係官を手招きし、胸ぐらをいきなり掴んで顔面に4発のパンチを浴びせた。
護衛の者が止めなかったら無抵抗の執行官に対してまだ狼藉沙汰は続けられたと思われる激しさで、市長の鼻息は異常であった。
この一部始終は全国放送のテレビ・ニュースに何度も流され、批判もあるが擁護する声も多い。
市長は『執行を少し待ってくれ』といったというが、それとパンチ4発は全くつながらず、言い訳でしかなく、手招きの仕方から見てそんな様子には見られない。
当時、ダバオは大雨による出水で30人もの死者を出す騒ぎで、本来は不法占拠地域にこられるような状態ではなく、そこに『いいカッコをしたくて』乗り込んだのがそもそもの間違いであった。
被害者の執行官は報復が恐くて傷害で訴えるなど露ほどもなく泣き寝入り、地方自治を監督する内務自治省は『停職』もあり得るとはいっているが、歯切れは悪い。
一方、大統領府はさすがにこの暴力沙汰は無視できないと言及、また裁判所関係者の間では仲間がやられたと事実の解明を求めるなどの動きがある。
当の市長だがそれほど反省もなく、親の方も同様。『泣く子と地頭には勝てない』を地で行くフィリピンの一コマである。
|