日本企業も入る38階建ての高層ビルで、9月5日の午後4時半過ぎ、警備員同士のもみあいで発砲事件が発生した。【写真はマカティ市の夜景】
事件はこのビルの所有権をマカティ地裁から仮処分が認められた側が、地裁の執行官と警備員約70人を伴って執行のためビル内に立ち入ろうとした際、もう一方の所有権を主張する側の警備員約50人が起こした。
ビル内の警備員が立ち入りを阻止、もみあいとなって双方で銃撃騒ぎがあり、立ち入ろうとした側の警備員1名が死亡する事件となった。
通報を受けたマカティ警察が駆けつけ、騒ぎは1時間ほどで収まり、事件に関係した関係した警備員は一時全員が拘束されたが、6日午後8時頃までに、死亡した警備員に発砲した疑いのある2人を除いて全員、釈放された。
亡くなった警備員は散弾銃で撃たれていて、拘束中のこの2人は発砲の事実を認めているが『向こうが先に撃ってきた』と正当防衛を主張している。
類似の事件は4月下旬に同ビルから約1キロ離れた、やはり日本企業が多く入る地区にある35階建てコンドミニアムでも発生。
ここも所有権を巡って、韓国人とフィリピン人の間で係争中の中、実力行使に出た韓国人に対して100人以上の双方の警備員同士がもみあい、発砲騒ぎが起き1名が負傷している。
こういった騒擾はフィリピンでは珍しくなく、欲の突っ張った経済関係だけではなく政治の分野でも知事などの首長の座を巡って、明け渡しを求める裁判所の命令に従わず庁舎に籠城するといった事件が各地で頻発している。
『法』で解決よりも力=銃で解決しようとする風潮の強いフィリピンの現状から、このような事件は今後も勃発するものと見られている。
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