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日本のODA資金からセブ市が巨額の借金をして埋め立てたセブ市南部埋立地(SRP)約300ヘクタールは、当初の計画、目的と違って、フィリピン最大手の小売業であり、財閥を形成しているシューマート(SM)や、不動産大手に埋め立てた土地を切り売りするなど、日本の税金がフィリピンの大企業に奉仕するために使われているのではとの指摘がある。
現在、SMはセブ島で3番目になる巨大なショッピング・モールをこの埋立地に建設中で、同時に会議場やコンドミニアムなどの複合施設建設計画を推進している。
また、大手不動産は埋立地の荒野の中に低層コンドミニアム群を出現させたが、あまりの未開発、僻地ですぐには住めないのではとの評判がある。
こういった中、セブ市長はこの埋立地に国際基準に沿った大規模競技場を建設する計画を発表した。ただし、定例記者会見の中でのぶち上げ話であって、建設についての具体的な内容はなく、この建設についても自前ではなく外資の導入を考えている模様。
セブ市長はこのような近代的大規模施設は、フィリピンで開催される、国際的な会議や集会をセブに誘致するには有効と述べていて、現在、フィリピンで2015年の開催が決定しているアジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation=APEC)会議は開催地をフィリピンのどこにするか国内を物色中で、セブもその候補の一つに数えられている。
APECは各国持ち回りで開催され、フィリピンは1996年にマニラとスービックを舞台に開催していて、2015年会議は2回目。一方、この競技場建設はSMが建設予定の会議場施設と競合するのではとの意見も出ているが、セブ市長はお互いに利益になると一蹴。
また、市の別のセクションからは市役所近くの市有地や国立フィリピン大学セブ校(UP-Cebu)に隣接する7ヘクタールに競技場を建設する計画が既にあると述べているが、現在この土地は立ち退きを迫られている住民の反対によって見通しは不明。
また、市当局は日本の民間開発業者がSRPの1.2ヘクタールを使って『退職者用』住宅、1000室を建造する計画を明らかにしたが、詳細は不明。
国際的行事目当ての建物といえば、セブでは2006年に、各国首脳を集めた国際会議が開かれ、その時、州政府が突貫工事で完成させた国際会議場が今や閑古鳥の鳴く始末で、他に用途がないかと身売り話が出ているため、巨大な箱モノを作っても結局は無駄な投資の二の舞になるのではと見られている。
【写真はSRP内を縦貫する専用道路】
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