ヴィサヤ語で『バヨット』、タガログ語で『バクラ』と呼ばれる同性愛者が多いフィリピンだが、アメリカの調査会社が世界123ヶ国対象に『自分の住む国が同性愛者にとって住み易いか』を調査したところ、フィリピンは全体で22位、アジア域内では最上位の結果となった。
この調査は2009年から2013年にかけての4年間で15歳以上、1000人から得た回答を集計したもので、アジア域内では14ヶ国・地域が対象だった。
トップに立ったフィリピンは58%が『暮らし易い』と回答。
次に台湾(39位、39%)、以下カンボジア(48位、29%)、日本(50位、28%)、インド(55位、26%)、ミャンマー(58位、23%)、観光地などでゲイのショーパフォーマンスで売るタイは意外と下位の(61位、21%)だった。
一方、アジア域内でのワースト国はイスラム教などの宗教が強い国に偏り、スリランカ(98位、6%)、インドネシア(119位、2%)、パキスタン(122位、1%)がワースト3となった。
また、『世界一、同性愛者が暮らし易い国』は、オランダとなり(83%)、2位アイスランド(82%)、3位カナダ(80%)と、同性婚が認められている欧州諸国を中心に上位を占めた。
反対にアフリカ区域は同性愛者に寛容でなく、何れも下位に並び、今回の調査で最下位だったのはセネガルの(123位、1%)だった。
こういった調査結果を得て、フィリピン国内で活動する同性愛者の団体などは歓迎しながら、フィリピンでも同性婚を認めるように訴えている。
同性愛者への理解は世界的な傾向で、フィリピン国内でもセブ、ダバオ、首都圏ケソン市など5つの自治体が『同性愛者に対する差別撤廃』をうたった条例が成立している。
しかしながら、国レベルでは1990年代から上下両院に『同性愛者に対する包括的差別撤廃法案』が何度も提案されているが、廃案の憂き目にあっている。
これはフィリピン国民の80%以上を占めるカトリック教会のカビの生えた頑迷な影響が及ぼし、また、寛容度は高いというものの、同性愛者を笑いものにする風潮は根強く、特に同性婚に対してはなかなか理解を得られないのが現状である。
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