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アメリカ国務省が毎年行っている、2015年次版の人身売買実態調査が公表された。
この調査は世界188ヶ国を対象とし、国・地域の人身売買対策や被害報告などを元にし、ランクを次の4つに分類している。【写真はケリー国務省長官、元民主党大統領候補】
①第1類=最低限の国際基準を満たしている。②第2類=国際基準に沿うように努力している。
③第2類監視対象=国際基準に沿うように努力しているが、被害者数など減少していなくて対策の効果が上がっていない。④第3類=国際基準を満たせず、改善努力もしていない。
今年次のフィリピンの評価だが、昨年と同様の第2類に区分され、これは日本と同類の評価となった。
報告書では各国への指摘も載っていて、フィリピンは児童が性的暴力の被害者になる例が多く、最近、セブ島北部の市でアメリカ国籍の居住者が市内の未成年を定期的に買春し、逮捕された事件など外国人によるこれら性犯罪は枚挙にいとまがない。
また時々国内で摘発されるインターネット利用のポルノサイトで強要される未成年が目立つとされ、フィリピン政府には取り締まり強化とこれら違法行為を見逃す警察組織の綱紀粛正、加害者に対する刑事訴追を徹底するようにと勧告されている。
またフィリピンは『性的搾取や強制労働を目的とする供給国』と指摘、『取り締まりも充分ではなく、取り締まる側が賄賂を要求したりする汚職が絶えない』と問題視している。
一方、日本だが、『中国、韓国、フィリピン人との偽装結婚が多く、これら偽装組外国人の多くが性風俗産業などで働かせられている』と警告されている。
また、日本国内の性風俗産業でフィリピン、タイを中心とした東南アジア諸国、あるいはロシア、南米などからの人間が働き、しかも『借金や暴力を持って強制的に働かせている』と指摘。
同様に日本が国策で進めている『外国人技能実習制度』は安価な労働力を求める制度であり、運用実態も人権無視や強制労働の例も見受けられると分析、性風俗関連も含めて取り締まり当局の一層の強化が必要と指摘している。
今回の報告書では『ロヒンギャ難民』問題で、人身売買が疑われているマレイシアがランクを上げ、国交をアメリカと回復したキューバが、やはり最低ランクから1ランクを上げるなど、国務省のこの報告書が政治的に偏っているのではないかとの指摘もある。
しかしながら戦争法案成立に突き進む安倍内閣が、このアメリカからの不名誉な指摘をどのようにクリアーさせるかは不明。
というより小事より大事路線の現状では、いくらアメリカ政府のご機嫌伺い内閣でも『人権より軍事』に執着する安倍政権では改善は無理との意見が強い。

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