|
2013年11月、レイテ、サマール島、セブ島北部を襲った台風『ヨランダ』の被災地復興状況について、国連の専門家が現地に入って調査を行ったが、復興全体が政府と自治体の連携不足のため、順調に進んでいないことが指摘された。
専門家によると応急的な集合仮設住宅に相変わらず住む被災民が多く、現在の状態ではプライバシー確保に問題があり、女性に対する性的虐待も起きていて恒久的な住宅建設の促進が肝要と指摘。
また、水道、電気、衛生環境といった基礎的なインフラ整備、提供が不十分で、政府、自治体ともに一層の努力が必要と指摘している。
一方、政府が掲げている『より良い生活環境に復興させる』政策は、ヨランダ被災者だけではなく今後に起きうる自然災害に対して前向きであると高評価。
また、政府の被災直後の危機対応はリーダーシップが発揮されて、緊急支援体制が構築されていて、途上国の対応としては悪くないと見ている。
しかしながら、支援活動に被災住民の声を反映させる仕組みになっていないことが被災住民の不満を増幅させていると、この面での肌理の細かい対応が必要と指摘。
今回の国連報告には含まれていないが、被災直後の各国政府機関、およびNGOなどによる被災住民への支援活動は一定程度の効果を上げてはいたが、時間が経つとともに根付いて活動するケースは少なくなっていて一過性の支援活動、とりわけ『支援物資』を被災民に配るのは被災民間の不平等が生じる原因となっている。
また各国NGOによる組織のプロパガンダ行為も目立ち、真の支援とは何かと時間が経つとともに問題が浮かび上がっている。
国連専門家はヨランダ被災地だけではなく、ミンダナオ島のイスラム武闘組織の支配する地域や、先年のイスラム武闘組織によるサンボアンガ市の占拠事件のその後などを調査しているが、紛争によって故郷を追われる国内難民がいまだに多い事を指摘。
そういった国内難民に対して恒久的な住宅と生計手段を政府、関係自治体は提供する必要があるにもかかわらず、対応は遅れていると指摘した。
日本でも東北の大津波、福島の原発爆発で被災者は未曾有の数に上がっているが、この体験を社会から置いてけぼり、風化されることが何よりも被災民にとって耐えがたいものであり、ヨランダ被災当時の熱狂的な支援は今いずこといった現在、改めて支援の輪が広がることをフィリピン被災民は熱望している。【写真はセブ島北端のヨランダ被災直後の様子】
|