 ドゥテルテ政権が発足後の成果を上げるために、違法薬物容疑者に対する問答無用の射殺事件は6月30日の大統領就任以来激増し、国際NGOによると7月1日から8月19日の間に1000人以上が身元不明の武装集団に殺害されている。
また、国家警察によると同期間に警官によって射殺された違法薬物密売及び使用者は700人を超えた。
そういった中、アロヨ元大統領の(現下院議員)の地盤であるルソン島中部パンガシナン州ダグパン市(人口18万人)で、8月24日、5歳の少女が家族の経営する自宅兼店舗の中で射殺される事件が発生した。
ドゥテルテは政治家、裁判官、首長、警官などを違法薬物関与者として名指しするなど、強硬な姿勢を堅持していて、今回5歳少女が射殺された事件は少女の祖父が薬物使用容疑に問われ、同祖父が嫌疑を晴らすために同地に住む10数人と一緒に地元警察に出頭した19日の後に発生している。
同祖父が自宅に戻り、5歳の孫と一緒に居る時、オートバイに乗った2人組から銃撃を受け、5歳少女は死亡、同祖父は負傷したが、2人組は祖父を暗殺の標的にしたのは間違いなく、少女はその巻き添えで被弾したと見られている。
2人組の正体は不明だが、捜査する地元警察は暗殺者の正体は特定できていると発表。そのため警察関係者、あるいはその指示を受けた自警団による暗殺部隊ではないかとの憶測も出ていて、身内による真相解明は無理と早くも有耶無耶状態。
こういった超法規殺人を大統領が率先して指揮するのは問題があり過ぎると、国連や国際団体から批判されているが、ドゥテルテは『内政干渉だ』と一顧だにもせず、国連を脱退して中国と新しい組織を作るなど公言し、当の中国側が当惑する事態を引き起こし北朝鮮の独裁者よりタチが悪いとまで言われている。
この超法規殺人については国会でも問題になっていて、上院では聴聞会が開かれ、ドゥテルテ批判の急先鋒である先の上院選で初当選した元司法長官のデ・リマ議員に対して、個人的なスキャンダルを暴露して追及の手を止めようと画策している。
こういったドゥテルテの政治手法の低レベルも問題になっているが、大衆迎合路線の現政権の支持率はいまだ高いのが現状である。
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